9.11米同時多発テロから7年、再建滞る貿易センター跡地 | MASAHARUオフィシャルブログ 「世界一弱いプロテニスプレーヤーのブログ」 powered by アメブロ

9.11米同時多発テロから7年、再建滞る貿易センター跡地

【9月11日 AFP】2001年9月11日の米同時多発テロから7年。現場の一つ、ニューヨーク(New York)ロウアー・マンハッタンにある世界貿易センタービル(World Trade Center)跡地「グラウンド・ ゼロ(Ground Zero)」の再建がたち後れている。

 2機の旅客機をハイジャックしたテロリストによる自爆攻撃で、この地に並び立っていたツインタワーが崩落したのは7年前。しかし、再建プロジェクトの中心を占める高さ541メートルの「フリーダムタワー(Freedom Tower)」は、今週ようやく基礎部分が設置されたところで、グラウンド・ゼロからはむき出しの、一組目の鉄骨が突き出しているだけだ。

 マイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)NY市長は10日付の米ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)紙に寄稿し「貿易センター跡地再建の進み具合は、ストレスがたまるほど遅い」と述べ、その原因の大半は物事の進行を容易に許さない「役所仕事」にあると酷評した。
 
 2年前に大々的に宣伝されて始まった再建プロジェクトは、こうした官僚体質、予算不足、計画に関する意見の不一致などに、ことごとく進行を妨げられている。

 今月末に完成する予定の世界貿易センター新駅の建築設計図は、コストがかかりすぎという理由により、いったん設計委員会に突き返されもした。

■危ぶまれる10周年までの完成

 ブルームバーグ市長は、ニューヨーク市のみならず連邦政府、さらに跡地を所有する公共事業体に事業の加速を強く説く。「10周年までにこのタワーを完成させなければならない。どんな言い訳も、遅れも許されない」。市長は、再開発を担当するロウアーマンハッタン再開発公社(Lower Manhattan Development Corporation)を解散し、ニューヨーク市が請け負うことさえ要求している。

 デービッド・パターソン(David Paterson)ニューヨーク州知事も「グラウンド・ゼロ再建のあまりの遅さに対し、市長とわたしは失望を共有している」と声明で述べ、計画日程も予算もまったく現実的でない、と強い批判を隠さない。

 死者2750人を悼むフリーダム・タワーの完成予定は、2011年となっている。

■地域社会の再活性化にも影響

 計画の遅れによって、周辺のビジネスに影響が出ていると語るのは、市の職員Julie Meninさんだ。「小さな店の多くは営業が続けられず困っている。住民の生活のクオリティは大きなダメージを受けている」

 事件後、周辺地区に新たに入居してきた事務所や住民もいるが、「グラウンド・ゼロの側で働いている人や住んでいる人の数は、2001年以前の状態にまで回復できない」と地域団体「ダウンタウン・アライアンス(Downtown Alliance)」は嘆く。

 また、NY市がグラウンド・ゼロ周辺に進入するすべての車両の検問を計画していることも暗い要因だ。「安全は大事だが、治安活動の行き過ぎがわたしたちの生活や商売に悪影響がないか心配」だとMeninさんはいう。「ロウアー・マンハッタンのそこかしこに検問所ができるとしたら重大問題だわ」

 地域コミュニティの再活性化の遅れは、周辺の交通や道路など公共インフラの再建・修復ができていないからだと、パートナーシップ・フォー・ニューヨーク・シティ(Partnership for New York City)のKathryn WyldeさんはAFPに語る。当局がコスト削減を理由に再開発プロジェクト全体の設計をいまだ見直していることに、住民や事業主は大きく懸念しているという。
 
■予算見積もり不足に日程オーバー、完成は2年遅れか

 再開発プロジェクトの当初の予算額は150億ドル(約1兆6000億円)だったが、Wyldeさんは180億ドル(約1兆930億円)まで増額すべきだと指摘する。その上、完成は遅れ、2013年までには終わらないだろうという。

 跡地の所有者であるニューヨーク・ニュージャージー港湾管理委員会(Port Authority of New York and New Jersey)のクリス・ワード(Chris Ward)ディレクターは、今年6月の報告で「跡地のそれぞれの公共プロジェクトのスケジュールは大きく遅れており、一方で費用はすでに超過している」と認めた。

 いつの日か世界貿易センター跡地にそびえ立つであろうフリーダム・タワー計画が抱えている問題は、グラウンド・ゼロ再開発全体に遅れをもたらしている障害を浮き彫りにする。

 フリーダム・タワー計画が最初に承認されたのは、激しい議論の末の2005年。しかし、その時点で当時の計画の権利者だった不動産開発事業者ラリー・シルバースタイン(Larry Silverstein)氏が、30億ドル(約3200億円)近くに上るタワー建設費を工面しきれず、港湾管理委員会に権利を売却。計画が着工されたのは、同時多発テロから5年後の2006年だった。(c)AFP