内容(「BOOK」データベースより)
中央区日本橋。男性の“損壊”遺体が発見された。腹部を切り裂かれ、煙草の吸い殻と空き缶が詰め込まれた死体の意味は?大手新聞社を辞めCS放送の報道記者として取材する早乙女綾香は、十年前の大阪での殺人事件との類似点に気づく。一方「山猫」と名乗る犯人から新聞社に“真相を書け”とメールが。屑に埋もれた真実を追う、緊迫の報道ミステリ。
発見された破壊遺体の死体から
事件の謎を追うCS放送の報道記者・早乙女綾香の
活躍と報道の本来あるべき姿を問うミステリー。
ちょっと、視点が違うミステリー作品であると思う。
本来なら、探偵か、刑事だろうが、
記者としての俯瞰した目で
事件を追う展開は斬新で面白かった。
加害者の遺族の辛さ、
そしてその辛さを憎しみに
変化させてしまうメディアの偏り。
その憎しみが同じ犯罪を生み・・・
世の中のメディアの偏り、
そして、そのメディアから真実を得ようとする我々は
何を信じれば真の人の想いを
理解できるのだろうか?
事件の報道なら
テレビなら、心理学者みたいな人の話を
鵜呑みさせるように、
新聞なら、一方的な悪人風潮で
書かれたものを信じさせるように、
真相を埋もれさせてしまうメディア報道。
せめて、真実を純粋に我々が考えさせるような
報道のあり方が欲しいものだと
読んでいて思うし、また、
惑わされてはいけないのかも知れない。
ただ一つ言えることは、
真実を知っても、我々に人を
裁いたり、評価したりしてはいけないのではないか
真実は受け入れるだけでいいのでは
と感じる。