セイモアダンカンとか、メトロアンプとかのアンプフォーラムを読んでいるうちに、謎がだんだん分かってきたよ。

やはり時期、スタジオ、ライブでかなり違うんだ。
だから一通りじゃ出せないし、いつの時期のライブ、どのアルバムの音など、限定してかかるべしなのだな。


その1:1stアルバム~78年ツアーの音
「マーシャル直列接続」
HRギタリスト永遠の憧れのブラウンサウンドだが、YG78年9月号によると、「レコーディングでは、このセレッションとJBLのコンビネーションキャビネット2台とマーシャルヘッド"2台"をフルアップにしているよ」と語っている。
その2台のヘッドだが、ジミ・ヘンドリクスやマイケル・シェンカーのような音量を稼ぐための並列ではなく、歪みを得るための直結というのが真実らしい。
つまりフルアップさせた1台目をオーバードライブユニット(もしくは十分に歪んだプリアンプ)として使うワケだ。

具体的には、1台目のスピーカーアウトにダミーロードを掛けて信号レベルを落とし、2台目にインプット。
2台目を普通に鳴らすと、ノイズやハウリングがひどく、痩せてトレブリーなトーンになって使い物にならないので(俺もJCM900とJCM800で実験済)、トーンで中高音をカットするようコントロールしてやる。・・プレゼンス、トレブル、ミッドはゼロ、ベースを10に上げる・・

これは、良質なオーバードライブペダルやPostPPIマスターボリューム(MV)の無かった頃に、適切な音量で上質な歪みを得る方法だったようだ。

この方式は、ライブでの連続使用にはフルアップの1台目が耐えられず、1時間弱でダウンしてしまうそうだ。スタジオでは休み休み使えば良いのだが、長いステージでは複数台用意して、順次切り替えてやる必要がある。
78年のステージで9台ものヘッドを持ち込んだのは、そんな理由があったのだろう。


エディのプレキシ68年のマーシャルは改造なしだった・・というのは嘘ではなかったかもしれないが、1台だけではあの音は出せなかったのだ。

ましてや、ステージ写真を見て70年代末期のJMP1959でもなんとかなるかと思っても、無理。


その2:電源電圧140v
「変圧器で110vを150vに」
YGの1978年のインタヴューで語っていた伝説の大ウソだが、最近のインタビューによると、変圧器は英国仕様の220vマーシャルを140vで動作させるために使用したというのが真実らしい。
鋭い人は、「電源電圧を下げるとああいう歪みになる」と推測していたが、それが当たりだった。

「バイアスを目一杯まであげて、電源117vを87vまで減圧」
パワー管のバイアス電流がmax(117vで80mA程度)になるよう調整POTを上げておく。その1同様に、電源電圧を117vから87vに下げるとバイアス電流が下がって適切な37mAになる。電圧を下げることによってパワー管のプレート電圧が500Vから400V以下に下がり、音量も下がるのだ。

これもMVなしで適切な音量で歪みを得る手段の一つだ。
どの程度使われたのかは不明だが、「1台目をオーバードライブに使う」方法と併用して試していたのかもしれない。


その3:79年、2ndアルバムの音
2ndアルバムの時点で、後にLAメタルサウンドの確立者となるホセ・アルレダンドによる改造が行われた。

噂ばかりで実態がつかめなかったホセmodだが、初期のエディの頃はシンプルなもので、プリアンプにダイオードクリップによるオーバードライブ回路、トーン回路前にMVを付加しただけ。大ざっぱに言えば、ディストーションペダルを内臓したようなものだったのだ。

この写真でリヤパネルの左端にCTSのPOTの白いナイロンシャフトが見えるが、これがMVらしい。





今思えば、マーシャルのJCM900は、初期のホセ改造を真似たものだったのだな。
エディのサウンドに憧れていたくせに、能書きだけで「ダイオードクリップは不自然でダメ」なんて言ってた人達は、おバカさんだったワケだ。



さてさて、フェアワーニングの81年頃の情報はまだ見つからないよ。