先日、左目の端でチカチカと謎の光が踊りだした。
暗闇で目を動かすたびに走る、一筋の稲妻。
「こ、これ、ヤバいやつだ……」
震える手でAIに相談すると、返ってきたのは
『網膜裂孔』『網膜剥離』という恐怖の四字熟語。
パニック状態で、私は最寄りの眼科へ文字通り駆け込んだ。
予約なしの飛び込み診療。
長い待ち時間。
視力、眼圧……次々と繰り返される検査。
瞳孔を開く薬をさされ、ぼんやりとした視界の中で、
ついに「判決」の時が来た。
白衣の先生がペンライトで私の目の奥を執拗に覗き込み、ポツリと一言。
「うーん、老化だね。」
老化……。
重病じゃなかった安堵と、突きつけられた現実に、心は千々に乱れる。
「老化って、原因がわからない時の便利な言葉じゃないんですか?」
と誰かが言っていたのを思い出す。
「えっ、網膜剥離は!? 裂孔は!?」
食い下がる私に、先生のボルテージも上がる。
「だから!それを今調べたの!ないの!」
「じゃあ緑内障は!? 白内障は!?」
「それもない!少しは安心しなさい!はい、次は1週間後ね」
診察終了。 『老化』という、わずか二文字の宣告。
これから先、一体あと何度この言葉を病院で聞くことになるのだろうか。
壮年期と老年期の狭間で、AIと医者に振り回された
「自称ジジイ」の、少し切ない1日でした。
