遠い過去の記憶より

「なんで、お父さんは目が見えないの?」
多分、何回か両親が揃う前で聞いていた気がする
でも、父も母も直ぐに答えてくれなかった気がする

いつの頃からか?交通事故が原因だったと知った時、また大きな悲しみに襲われた

どんな交通事故だったの?

田舎の田んぼ道を車で走っててな
相手は飲酒で居眠り運転だったんだよ

昔の車は今みたいなガラスじゃなかったから
今みたいな強化ガラスなら、余程じゃなきゃ割れないし、割れても刺さるようなガラスじゃないだろ...

ぶつかった勢いで割れたフロントガラスが飛び散って、顔中に刺さったんだよ

田舎の田んぼ道で人通りもなく、救急車を呼びたくても呼びようがなかった
仕方ないから、近くの病院まで歩いて行ったよ

病院て言ったって、田舎の小さな病院だよ
顔中に刺さったガラス取ってもらったんだけどな
多分、目に見えないくらいのガラスが眼球に入ったのか?その時に傷ついたんだろうって...

だいぶ経ってから視力が落ちて来て眼科へ行った時にそう言われたんだよ
このまま視力を失う可能性がありますって言われても諦めらんねーよ

紹介状もらって眼科で有名な医者にも 2年くらい通ったよ
それでも駄目だったよ

行く度に眼球に注射するのが痛くてなぁ~

まさえの顔もだんだん見れなくなるのか...

病院の帰りの電車を待ちながら、何度も飛び込んで死のうかと思ったよ

まさえの顔を思い出すと、それも出来なかったよ

私は話しを聞きながらショックで大泣きそうだったけど、泣いちゃいけないと思って、手をつねりながら我慢しながら聞いていた

母が最後に「でも、お父さん!その時に死ななくて良かったでしょ?!」

なんてこと言う母だろう...そんな質問しなくてもと、子供心にそう思った