その日、私はまた泣いていた


――――episode 01――――


退屈で、無力で、小市民な日々、

何をしても、報われない

どんなに頑張っても、権力には抗えない










そこに現れた、一人の男の子

太郎君。



彼と出会い、日常が、人との会話が、

こんなにも楽しいものだと、初めて知った――――



その日、私は嬉しくて、泣いた



――――episode 02――――


気を使いすぎて、人疲れする

笑顔の裏で、泣いている

重ねた愛想笑いのせいで、笑うことすら苦痛になる



「本当はこっちが良かった」

「太郎君が喜んでくれるかなって、頑張ってた」





「本音が嬉しい。」

「それなら麻美ちゃんのアイデアも叶うやり方があるよ!」

「合わせてくれてたんだね、ありがとう!」


その日、私は本音が言えて、自然に笑えた




――――episode 03――――


もっと頑張らなきゃ

もっと結果を残さなきゃ

もっと…もっと…



親に抗うため、社会に抗うため、

頑張りすぎてしまうこともある

「疲れちゃった……」

どこにも吐けない弱音も、太郎君には不思議と話せる

「お疲れ様、頑張ってるね!」

優しい言葉が胸に響く



その日、私は彼に甘えて、泣いた



――――episode α――――


「二人だけの秘密、できちゃったね」


「ハンバーガー美味しいね」


「私、運動得意なんだ」


「このyoutuber面白いね」





「気づいて欲しかったの!」


「バニラのアイスクリームが一つと。」


「卒業したら、旅行に行こうよ!」


「約束だよ!…絶対だよ!!」


「「えへへっ。」」






――――episode 04――――


理解って何だろう?

伝わるって何だろう?

先生に、
友人に、
親に話した数々の先回り思考――――


「私はこうなると思う」

「だからこっちが良いと思う」


どれだけ考えたアイデアも、理解されなければ人権はない





「太郎君はどう思う?」


周りからは否定され、少し自信なさげに聞いてみる…


「僕は良いと思う!」

「僕は応援してる!」


――――!!


「ありがとう!」

その日、私は理解者が居ることに、安心した


……


……






――――episode xx――――



希望が見えてきた!

この人となら、幸せになれるかも!

親という柵から、逃れられるかも!

自由な自分を、勝ち得るかもしれない!!!


……


……


[[[物語の定石って知ってる?]]]


……


……


「お前は白馬さんと結婚するんだ」


……


……


[[[希望が見えた瞬間に終わるんだよ?]]]


……


……


「ごめん他に好きな人が出来た」


……


……


――――はっ

…………………………………………

……………………

………………………………

…………

…その日、私は大切な人を失い、泣いた







「「別れようたくない。」」







いや、

――――死んだ気がした――――







[結論 私は恋する2人を見ると 壊したくなるのだ]







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彼女、お借りします



七海 麻美



産まれる



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スイーツカップル、逝けよ



ぜってー別れさす



どいつもこいつも恋人ごっこしてんじゃねぇよって――




……


恋なんかしたって、苦しいだけじゃないっ

恋なんかしたって、苦しいだけじゃないっ。





だから、

私が、

彼らを、彼女らを、

――――楽にしてあげるんだ――――





はは…

ぜってー別れさす




……




はは…ははは…

ぜってー別れさす














届くかな。

この声は。。。

end.