老子の残したただ一つの書物、「老子道徳経」。81章から成り、現文訳にして1章15行くらいしかないので、2時間もあれば読めてしまいます。私なりなにまとめてみると、富も名声も求めず、誰にも勝たず、技術や情報や知識を増やさず、人民を統治するな、そうすれば平和と幸福が訪れる、ということです。
その内容は、2,500年も前に書かれたとは思えないほど、現代に合っています。というより、人間とその生活は、2,500年前から本質的には変わっていない、ということがわかります。寿命が延び、技術が目覚ましく進歩し、庶民の知識と情報が老子もびっくりするほど増えても、人と社会と政治は2,500年間変わらなかったのです。人は富と名声を求め、勝利しようとして走り回り、技術、情報、知識を加速度的に増やし、政府はますます複雑な規則で人民を統治しようとしています。
今、ここに2,500歳の老子が現れたら、「老子道徳経」と全く同じ内容の本を、現代中国語で書くでしょう。老子に言わせれば「あなたたちは2,500年間同じ過ちをし続けている。」ということになるのです。
しかし老子は決して、絶望したり、憤慨したり、あきらめたりはしないでしょう。私は大切なことに気づきました。老子が「道(タオ)に逆らわない生き方をしよう。」という考えから出発していることです。
さっき、「老子もびっくりするほど」と言ってしまいましたが、2,500年後の現在に現れた老子は、現代社会を見ても少しも驚かないでしょう。「思った通りだ。」と静かに微笑むだけです。現代がこのような姿なのも、道(タオ)の一つの現れなのです。老子はそれに逆らわず、おもむろにパソコンの前に座り、真の道(タオ)を説き続けるはずです。
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