小山雅明のブログ

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アイワ広告社長 小山雅明のブログ。
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広告効果を最大化する広告を目指す

 

ハズキルーペの広告がすごい!

公共の電波を使ってこんな広告を出すのか?

最初の感想はそれだ。CMあまりにも直球すぎる。他のCMに比べてダサい! 豪華なタレントを揃えていながら、よくこんなコマーシャルを作ったなと呆れてしまう。

 

しかし、すぐに気づく。この「ダサいように見える」広告が、実は最大の「広告効果」を発揮していることに。なにしろ、この60秒のCMを一度観ただけで、「ハズキルーペ」という商品名と商品の特徴が記憶に残ってしまうのである。

 

その「広告効果」は、実際に売り上げに直結している。ハズキルーペは、100億円を掛けてCM展開を大々的に行った。その結果、昨年4月のCM(渡辺謙、菊川怜)開始から9続編(小泉孝太郎、武井咲、舘ひろし)切り替わりまでの時点で、ハズキルーペの販売数は500万セットを突破、500億円以上を売り上げることになったのである

 


ところで、昔、エリマキトカゲが社会現象になるほどの流行になった事がある40代以上の人なら覚えているはずだ。1980年代の中頃。テレビコマーシャルが火付け役だった。だが、このコマーシャルがどこの会社の何という製品のプロモーションだったのかを覚えている人は少ない。コマーシャルに登場したキャラクター、エリマキトカゲのことは誰もが覚えているのに、肝心の企業と製品のことがキャラクターの陰に隠れてしまって、みんな忘れている。

 

三菱自動車「ミラージュ」、1984CMである

こう聞いて、「ああ、そうだった」と思い出す人もいれば、「あれ、そうだった?」と記憶を手繰り寄せながらも首を傾げる人もいる。どちらかといえば、後者の反応の方が多い。

 

確かにCMそのものは話題になった。そこに登場したエリマキトカゲというキャラクターも社会現象になるほど流行した。しかし、肝心の自動車の売り上げは上がったのか?

ミラージュの売り上げはまったく上がらなかった



 

本末転倒

レビコマーシャルは、商品を販売するための「投資」である。だからこそ何千万、何億もの大きな予算を掛けてCMを作り、テレビで発信する。その前提にあるのは、「確かな広告効果」だ。製品やサービスを売って売り上げを上げるために、企業は大金を費やしてCMを作るのである

 

ところが、そのコマーシャルを実際に作る広告代理店はそうではない。特に、D通やH報堂などの大手エージェンシーほど「世の中で話題になること」が目的となってしまうなぜなら、世の中で話題になったり流行を生み出せば、「その仕掛け人」としての名声が高まるからだ。それが広告代理店の役割だと信じているのである。

だから、エリマキトカゲのコマーシャルは、彼らにとっては最高の結果をもたらした。社会現象になるほどの流行を作ったのだから。

 

30年前、私もD通やH報堂と付き合いがあった当時を思い出すと、いまでも苦い思いが蘇ってくる。

 

彼らの営業のやり方は、クライアントの担当者と連日酒を飲んで人間関係を作り、その癒着力で仕事を得るというものだ。何しろ、広告営業は「胃に穴が空いて一人前」とまことしやかに語られていた時代だ。クライアントと酒を飲むことが仕事なのである。

 

若い頃の私も、その仕事のやり方を先輩から教わり、連日クライアントや広告代理店の営業と酒を飲んでいた。しかし、仕事だという意識があるせいか、まったく酔わないのである。酔わないが毎晩酒は浴びるほど飲む。クライアントたちと別れた後、一気に酔いが回り、記憶を失うことも度々あった

 

その結果、30才のとき肝臓を悪くしてしまい、このような「営業」はできないと痛感した。

 

人間関係を構築するのは大事なことだ。だが、そればかりを重要視していると、大切なものを失ってしまう。酒を飲むのが仕事だけでは、広告で一番大事な「広告効果」を高めてクライアントの売り上げアップに貢献することを忘れてしまう。

 

仕事さえ取れればそれでよし、という考え方になってしまう。

 

私は仕事のやり方を根本から変えようと決心した。癒着力に頼った仕事ではなく、クライアントの売り上げを上げるための仕事をしようと思ったのだ。本当にお客様のためになる広告、お客様の利益になる広告だけを作っていこうと決意した。

 

いま、ありがたいことに、アイワ広告の作る看板は、他社の看板に比べて圧倒的に集客率が良いという評価を頂いている。アイワ広告の看板での広告効果は、具体的な数字としてはっきりと出ている。

30年前に決心して良かったと心から思う。

 

ただその反面、「お宅のデザインはベタすぎない?」と言われることもある。

確かにベタかもしれない。しかし、客観的な「広告測定」をしてみると、ベタな方が広告効果は高いのだ。

 

なぜそうなるのかを知りたくて、私は「感性工学」という学術分野に足を踏み入れることになるのだが、それはまた別のお話し。ただひとつはっきりと言えるのは、企業の製品やサービスを売るための広告で広告効果を最大化しようとすると、ベタな表現に行きつく、ということである。これは、人間の「感性」の部分での無意識の判断によるものだ。





 

ちなみにこれは、アイワ広告で扱った案件だ。東京駅の地下街「東京エキナカ グランスタ」への誘導看板リニューアルである。上の「Before」デザインの方が洗練されてオシャレ感があるが、この看板での集客が芳しくなかった。そこでアイワ広告が提案し設置したのが下の看板だ。見てわかるとおり、「ベタ」である。ベタである何を伝えたいのか一目でわかる。そして看板設置後、B1への集客数が増えたのである

 

「ハズキルーペ」のCMこんなにベタな内容のCMはない。小泉孝太郎や武井咲といった有名タレントを使って、夜のクラブという設定で製品の特長をセリフにして喋っているだけなのだから。べたべたである。だ、そのベタさが視聴者に大きなインパクトを与え、製品名と製品の特長を記憶に残すのである

 

本当に広告効果のあるコマーシャルは、製品名と特徴と企業名が消費者の記憶に残るもの。

マーケティングの先進国であるアメリカでは、CMの多くがベタな表現である。それは、クリエイターが、広告の目的は「製品・サービスを売ること」にあるという本質を理解しているから

 

「ハズキルーペ」のCMを作ったのは、Hazuki Companyの松村謙三さん。ハズキルーペ製造・販売元企業の会長だ。広告代理店からあがってきた企画を見て激怒したそうだ。タレントのイメージCMのような内容になっていたからだ。

そこで、「俺が全部自分で作る!」と宣言し、企画・監督・プロデューサーをすべてやり、できあがったのが、あのインパクト絶大なCMだった

 

企業のトップは自社製品を売ることに本気。だからこそ、本当に売れる広告を求め

 

広告のつくり手も、その本気に応えなければならない。

ハズキルーペのCMを観て、私は改めて決心したのであっ


「お宅のデザインはベタだね」と言われたら、「ベタかどうかが問題なのではなく、広告効果が最大かどうかが問題なのです」と答える。そして今、その事を理解し、売上・収益の最大化が広告の本質と考える真剣な経営者が私のコアなクライアント、ファンになっているし、これからもそうだろうと思う。