朝5時起きの外科医 まさ のチャレンジする日々!! -7ページ目

がんが成長する早さ!!

検査で、「がん」が見つかると…
「いつからがんがあったんですか?」と動揺して聞きながら、
「すぐに治療しないと命に関わるので…1日でも早く治療を開始したい!!」と、治療を急がれる人が沢山います。


がんは、がん細胞が集まってできたもので、画像診断でがんと認識できる直径1cmのがんは、約10億個のがん細胞からなっていると言われています。
最近は診断技術が向上し、厳密には1cm以下の大きさでも診断がつく場合がありますが…それより小さいものは、どんな検査でも分かりません。


がん細胞は分裂を繰り返して、ドンドン増えて行くと言われています。
仮に、がん細胞が、一定の早さ(100日に1回)で細胞分裂を繰り返し…
増殖している全てのがん細胞が生きていると仮定すると…
がんと診断されるまで(直径1cmになるまで)には、どれくらいの時間がかかるのでしょうか?!
朝5時起きの外科医 まさ のチャレンジする日々!!-2

正常細胞が、ストレスなどにより、がん細胞となり…
1個のがん細胞が2個に分裂し(分裂1)、2個が4個(分裂2)、4個が8個(分裂3)、8個が16個(分裂4)、16個が32個(分裂5)・・・・と、2のn乗個(分裂n)になります。

約30回分裂すると、がん細胞は約10億個になります。
100日に1回分裂するので…
100 x 30 = 3000日(約8年)
かけて直径1cmになる計算です。
がんは、

それから10回(最初から約40回)分裂すると、がん細胞は約1兆個になります。
100 x 10 = 1000日(約3年)
かけて、直径10cmになります。
つまり、成長速度はドンドン早くなっていきます。

分かりやすく説明するために簡単なモデルで考えてみましたが…
実際は、分裂速度は一定でなく、がん細胞以外の組織も加わり、死滅するがん細胞もあるので、この通りではありません。

大きくなる早さがもっと早い(分裂速度が速い)がん細胞はありますが…
体の中でがん細胞ができて、検査で発見されるまで(1cm程の大きさになるまで)、数年以上の時間が経っていると考えられます。
つまり、検査でがんが発見された時の、何年も前から厳密には「がん患者」だったことになります。


「がん」と診断された時点では、がん細胞が体内でできてから数年以上経過しているので、その時点から慌てて治療を開始する必要はないです。
検査・治療・経過観察をする病院や医師とは、診断がついてから、長い付き合いになります。
時間をかけて病気と向き合い、信頼のおける病院や医師を捜して、しっかりと検査をして診断をつけてから…治療を行えばいいと思っています。
(もちろん、のんびりしていては行けませんので、迅速に行動することは必要ですが…。)


自分の患者さんには、「がん」と診断されてから、

(1) がんであったことを患者さんとご家族に告知して…時間をかけて(家に帰って)冷静になっていただく!!
(2) 病気(がん)の説明をする!!
(3) 治療の説明をする!!
(4) 治療の同意を頂く!!

と、何回も話をして、お互いの信頼関係をしっかりとしたものにしようとしています。


「がん」であると診断されたら、冷静になって、自分が納得のいく治療をさがすようにしてください!!