皆様、こんにちは。厳寒のみぎり、ご壮健にてお過ごしのことと存じます。有限会社 三島石装石材の三島正行です。ご縁をいただいたお客様に感謝の気持ちを込めて石屋だよりをお届けさせていただきます。

 

 今月は今年の干支「子」に関連して鼠石(ねずみいし)のお話しを致します。参考文献「日本石材工業新聞」

 

 長野県北安曇郡松川村に鼠穴という地区があります。鼠石は有明山の麓にあるこの地区にあり、この石にまつわる伝説は数多く、地名とも深く関わる史跡として保存されています。

 

 この鼠石には、子どもの手が入るほどの穴があります。この穴は有明山頂の金明水・銀明水が沸き出ている穴まで抜けているといわれ、また善光寺まで通じているともいわれています。鼠穴の主は鼠で、膳椀を借りたい願えば、明朝には膳椀が用意されていたという言い伝えもあります。

 

 またこんな昔話もあるそうです。夫婦仲の良い爺さんと婆さんがいました。不自由なく平和に暮らしていましたが、子どもがいないことが夫婦の心残りでした。二人は有明山を仰いで「子どもを授けてください」と願うと、ある晩の夢枕に有明山の神が現れ、鼠石の穴から流れる泉のお告げをしたと言います。

 

 朝に流れる金明水、夕方に流れる銀明水、どちらかひとつを選んで一杯だけ飲むように、とのお告げでした。二人は鼠石に行き、夕方に銀明水を飲みました。翌朝目覚めると、驚いたことに二人とも若返っていて、やがて子宝にも恵まれたという物語であります。

 

 実は伝説に彩られたもう一つの鼠石が奥飛騨にあります。岐阜県高山市上宝町にあるこの鼠石は、石に浮かび上がった模様が鼠の形に見えるというもので、次のような言い伝えが残されています。

 

 川の底から這い出してきた鼠の精がこの石に宿り、村人たちと親しんでいました。ところが、そのことを知らない後世の人々が、珍しい石だということで寺に寄進してしまいました。それからというもの、次から次へと人々がなくなる災難に見舞われました。易者に占わせたところ、鼠の精が寂しがって人々を呼ぶからだとわかりました。事の次第を寺に話し、鼠石をもとの場所に安置したところ災難もピタッと収まりました。

 

 この二つの鼠石の伝説に共通するのは、生命力だと思われます。安曇野の鼠石は若返りの水を与え、奥飛騨の鼠石は死を遠ざけました。子孫繁栄を願う家の贈り物に鼠の石の置物も良いのではと思う一年の初めでした。

 

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有限会社 三島石装石材