医療機関に勤める看護師に求められる職務は、患者の傷病の治療が優先事項であり、接客業のような接遇まで必要ないと考える人もいるでしょう。たしかに、慢性的な人手不足のために激務を強いられる看護師には、接遇まで気を遣うゆとりがないかもしれません。
しかし、傷病の不安を抱える患者の気持ちに寄り添い、メンタルケアに力を注ぐことも、看護師の重要な責務です。きめ細かい声かけを行い、丁寧な言葉遣いを心がけることは不可欠と言えるでしょう。デリケートな看護ケアが必須とされるターミナルケアを施すホスピスだけでなく、重篤な慢性症状に悩まされる患者や小児患者を看護する現場でも、患者に対する接遇が欠かせません。
また、健診センターや献血ルームのほか、渡航者の予防接種を行うトラベルクリニックなど、健康な人が健康診断や献血のために来訪する施設では、看護師に対してホスピタリティが求められます。健康な来訪者は、傷病の治療が目的ではないので、看護師の接遇に目を向ける余裕があり、健診や予防接種を医療というよりサービスと捉える場合が多いからです。このような施設では、看護師も接遇を重視して、常ににこやかに振る舞い、客をもてなす接客業のような態度が求められるでしょう。
そして、医師がおらず看護師が主体となって退院後の療養生活などについて患者の相談に応じる看護専門外来でも、退院後の不安を抱える患者の心を和らげるために、看護師は接遇を意識して丁寧な態度で接しなければなりません。
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