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フクシマンの福島リポート(郡山市)

3.11以降放射能に汚染され福島は変わってしまいました。子供は自然で遊ぶことで成長してゆきますが原発は子供達から泥んこになって遊ぶ機会を奪ったのです。子供達に何がしてあげられるのか?もっと考えるために、福島を生きる、フクシマンが福島の今をリポートします。

 

福島第一原発「汚染水」の海洋放出について、分子生物学者の河田昌東先生が、とてもわかりやすく話をしてくれています。

ポイントは1分
本文は5分で読めちゃいます。

私たちの健康に関わるかもしれない、大事な問題だと思います。

多くの人に、関心をもってもらいたいと感じ、書き起こしをしてみました。

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マル激トークオンデマンド第935回(2019年3月9日)
「原発被災地の現状を正しく知るために」

https://www.videonews.com/marugeki-talk/935/

 


「ポイント」

 

・トリチウムの化学的性質は水と同じ。

 

・化学的に水と区別できないので処理できない。

 

・汚染水のタンクは100万トンに達し、敷地に置けなくなりそう。

 

・海洋放出が検討されているが、大変な問題。

 

・海洋放出すると、魚など水の中にいる生物がトリチウム水を吸い込む。

 

・生物がタンパク質や遺伝子を合成する時に水を使った反応があり、水の代わりにトリチウムの入ったDNAができてしまう。

 

・DNAにトリチウムが取り込まれると、15年ぐらい排出されず内部被ばくし続ける。

 

・トリチウムは半減期がくるとヘリウムに変わる。

 

・ヘリウムは安定的な元素なので、他の分子と化学結合できず、DNAの結合がぷつっと切れてしまう。

 

・この遺伝子の切れ方をオーガニックバウンドトリチウムといい、放射線があたって遺伝子がプチっと切れるのとは別に、トリチウムは2重の被害をもたらす。

 

・そういう深刻な問題が、ほとんど議論されていない。

 

・実際に、カナダの、オンタリオ州にある原発では、トリチウム水を湖や川に放出している。

 

・その周辺の地域にいろんな先天性異常とか、病気が発生している。

 

・被害が出ていることをカナダ政府も認めている。

 

・(汚染水を海洋放出すると)そういうことが本格的に起こる可能性がある。

 


「書き起こし」47’00”~


福島第一原発の汚染水、トリチウムがおそらくこれから大問題になると思います。


実はトリチウムというのは原子炉の中で大量にできているわけです。


冷却水に中性子があたって、水素がトリチウムという元素に変わるんですね。


水素っていうのは、陽子が一個、電子が一個ですけれども。


それに中性子が入って、2個入ると、3倍重くなって、これがトリチウムになるんですね。


でも化学的性質は陽子の数で決まるので、水素と一緒なんですよ。


だから原子炉の中でできた水っていうのは、トリチウムが大量に混ざった水。


H2OのHがTになって、T2OかTHOもしくはHTOになって、それが汚染水となっているわけです。


汚染した水を今処理していますよね。


ところがトリチウムは水ですから、化学的に水と区別できないので処理できないわけです。


処理した水は、みんなトリチウム水なのですよ。


汚染水のタンク、今100万トン近くになるんですけれども、敷地に建てる場所なくなってきたので、どうしよう?と、海に放出しようかかという話になっていますよね。


だけど、これは大問題なんですよ。


これは私の専門(分子生物学)に関係あるんですけれども、遺伝子と非常に深い関係があって、水ですから、水の中にいる生物が当然それを吸い込むわけですね。


そうすると体の中で、いろんなタンパク質とか、遺伝子とか合成するわけですね。


その時に水を使う反応もあるわけですよ。


そうすると、水の代わりにトリチウムの入ったDNAができちゃうわけですよ。


単に水として入っただけなら、短時間で体内から出ちゃうわけですけれども、DNAの中にいったん取り込まれると、これは安定になって、今までの研究だと15年ぐらいは出ていかない。ということが分かっているんです。


そのうえで今度ベータ―線、まわりに放射線を出すわけです。まわりの分子を壊す。それからもう一つは、半減期がくるとヘリウムという物質に変わるんですよ、トリチウムはね。


ヘリウムというのは一番安定な元素で、他の分子と化学結合できないので、ヘリウムになったとたんにDNAの結合がぷつっと切れちゃうわけです。


これは放射線があたって、そのエネルギーで遺伝子がプチっと切れるのとは全く違う切れ方で、それ自身の物理的性質がもたらす切れ方。


そういう風にDNAの中に入ったトリチウムは、オーガニックバウンドトリチウム。「OBT」っていうんですけれども、これの影響と、単に放射線があたって壊れる壊れ方とは、違うってことがあるんですよ。


そういうことが、(汚染水海洋放出の議論をするときに)ほとんど問題にされていない(話題にされていない)事が非常に困ったことだと考えています。


汚染水の処理は今のところ技術的にできる方法はありません。


実際にカナダの、オンタリオ州にある原発は、重水炉っていう特殊な原子炉なんですよ。


冷却水に重水を使っているわけなんですよ。


重水だからD2Oですけれども、中性子が一個入るとトリチウムになるわけですよね。


だからカナダの原子炉っていうのはトリチウム水がいっぱい出るわけなんです。


それを湖や川とか大気中に放出しているわけです。


その周辺の地域にいろんな先天性異常とか、病気が発生しているというのは、カナダ政府も認めている論文もいくつもあるんです。


(汚染水を海洋放出すると)そういうことが本格的に起こる可能性があるわけですね。


(書き起こし終わり)