国への提言
当苑では、別表のように、開設以来苑での看取りに取り組んできた。その過程で、穏やかな最期を迎えられるよう、本人の痛みや苦痛を和らげるため、さまざまな手当法(伝統的な民間療法)を施してきた。
その結果、ほとんどの方が、枯れていくような自然な最期を迎えている。病気への対応、看取りについて、西洋医学だけでなく、副作用のない自然治癒力を高める援助が、病院でない当苑のような福祉施設においては有効であったので、現場の職員から一部を報告する。
わたらい緑清苑の食の取り組みは、大きな成果を上げているが、さらに安全、安心な生命力の強い食物を日常的に食することが、よりいっそう入居者の健康に繋がり、命を守っていく。
一例ではあるが、産学共同で開発されたナノバブル水を利用しての稲作が、東京農業大学、明治大学、REO研究所、産業技術総合研究所等で研究されている。実験田として無肥料・無農薬・無除草剤で栽培された米は、白米のままで一年たっても味が変わらないほど生命力の強い米となっている。
生命力の強い食物は、人を健康に導く、このような観点からも国は積極的に生命力の強い食べ物の生産の普及を計り、国民の健康と命を守っていくべきである。
【 看護の現場から ~ 主任看護師 森本 直美 ~ 】
私たち看護師は、わたらい緑清苑の理念である「人間性豊かな生活の場にしよう」を目指し「自然治癒力を高める手助けを行う」を目標に入居者と関わっている。
自然治癒力を癒しの原点とするホリステック医学の考えに基づき、病気を看護するのではなく、利用者の身体、心、生育歴、環境等を包括的にとらえ、人間が本来持っている自然治癒力を引き出す看護を行っている。
調理チームは、マクロビオテックの考えに基づき玄米菜食を提供している。
人間の体の約70%が水分であることから、水にもこだわり、食を通して病気にならない健康な身体作りに力を入れている。
ここに、私達看護師が身近な食べ物を利用し自然治癒力を引き出す昔ながらの「手当て」法を行っている。
具体的に手当て法を紹介する。
私達の一番の武器となっているものは「生姜シップ」である。
ひね生姜をすりおろし、木綿の布袋に入れ80度位に保温した湯にいれる。
これにタオルを浸し患部に当て、冷めたら順次交換しながら15-20分程度温湿布する方法である。
生姜には、消炎、鎮痛効果があり、患部に良い血液を集め弱った部位の機能を高める効果がある。
便秘の際は、仙骨部を湿布することで腸の働きが活発になり、自然排便の手助けとなっている。
肺炎の際は、朝、夕と胸部に湿布をすれば痰がきれるようになり入院をせずにすみ、入院者数が極めて少なくなっている。
腰痛の際は腰に、膝痛の際は膝に湿布を行う。
熱が出た時は、キャベツを一枚ずつはずし、頭部に当て、葉が頭皮に密着する様に三角巾でしっかり固定する。
キャベツのカロチンが熱を吸い取り、葉がしんなりしたら随時、交換する。解熱に時間はかかるが、ゆっくりと熱が下がるので入居者への身体の負担が少なくて済むのが最高である。
39度以上の高熱の際には、水きりした木綿豆腐をつぶし、キャベツと頭皮の間に入れ三角巾で固定する。豆腐が熱を吸い取り急激に熱が下るので、側に付き添い37度代になったら取り外す。
骨折しても手術を受けずに、苑で保存的治療を希望される利用者も少なくない。
そういった際、痛みが続く間は、患部に生姜湿布を行った後、里芋をすりおろし少量の生姜と小麦粉を混ぜ合わせ、練った物を貼る。(里芋パスターという)
風邪気味で食欲がない時、腹痛や嘔気、下痢の時には、梅干を潰した中に生姜のしぼり汁と生醤油を入れ番茶をそそいで飲んで頂く。
尿が出にくく足がむくむ時には、大根をすりおろした中に、生姜のすりおろしと、生醤油を入れ番茶をそそいで飲んで頂く。
頭が痛い時には、こめかみに梅干を貼ったり、しいたけを煎じたエキスを飲んで頂く。
私達の究極の手当て法がロイヤルタッチである。脳梗塞の症状が出た時、呼吸困難の時、利用者の指先をふれるかふれないかの力でマッサージする。呼吸が深くなり時間はかかるが症状が改善される。
湿布一枚何秒、投薬一服何秒の世界ではなく、利用者の側に寄り添い、身体に触れ、手間と愛情をかける事で、その人らしさその人の持つ自然治癒力を引き出す事ができると考え実践している。
私達は決して西洋医学を否定しているのではなく、嘱託医のもと内服や外用薬も併用している。不思議なことに手当てを行うことで薬の効果が倍増する。
特に生姜湿布は生姜の力で患部に良い血液を集めるので、当然薬の効果も発揮される。病気になるのも、病気を治すのも血液である。自然治癒力を持った血液を作り出すために緑清苑の食がある。
緑清苑は、開設当初から積極的に看取りケアーを行ってきた。最初の頃は肺炎を併発し、酸素療法を行い吸痰に苦しみながら、最後を迎える利用者が多かった。
しかし最近では、手当てを施し、色々なサプリメントを使う事で一旦は命をとりとめ元気になり、家族が死を受け入れる準備期間を得て、安らかな最後を迎えられる方が多くなった。
症状に応じて食事内容は変更する。粥から流動に変更し、さらに嚥下困難となれば玄米クリームスープを召上って頂く。かつて、この玄米クリームスープだけで、点滴もせず約半年の間余生を送られた方もいる。
さらにスープも飲めない状態になると、水のみとなる。ここで活躍するのが、酸素ナノバブル水(ナーガの雫)である。
粒子がとても小さいこの水は不思議なことに、何も口にする事が出来なくなった方でも嚥下できるのである。この水を一日500cc飲むだけで、約一ヶ月の間、余生を送られた方もいる。
弱った体に点滴をする事は、心臓に負担をかけ体中がむくみ、苦しみを与えるだけではないだろうか。ナーガの雫さへも受け入れられなくなった時、安らかに命の灯火が静かに消えていくのである。
先日、亡くなられた入居者の家族から「人間ってこんなに安らかに眠るように、死ねるものなのですね」という言葉を頂いた。
私達が提供する、「食」と「手当て」は安らかな看取りケアーに繋がっていると信じている。一言に看取りと言っても、簡単な事ではない。
常に家族とコミュニケーションを取り、大切なご家族の命を預けて頂ける程の信頼関係を築いていかなければならない。
特別養護老人ホームは家庭の延長線上にある。
今までいろいろな会で発表させていただいた中で、手当て、特にキャベツによる解熱法は受け入れがたい様である。手当て法の利点は副作用がなく、誰でも出来ることである。
子供が病気になると母親は手を替え品を替え必死で病気を治そうと努力する。これが私達看護の原点である。
入居者を自分の家族と思い、入居者からも家族同様と思って頂けるよう、共に笑い、共に泣き日々精一杯生き抜いた最後に、誰もが満足できる看取りがあると考えている。