ある契約者さんの兄妹のお話し | 葬儀社がやるべき地域貢献!高齢者の身元保証・身元引受支援事業

葬儀社がやるべき地域貢献!高齢者の身元保証・身元引受支援事業

葬儀だけじゃなく、高齢者とこのご家族が安心して暮らせるようにサポートをすることで、地域の頼れる安心窓口になり、長いお付き合いに繋がる方法を完全伴走で結果に導きます。
新しい家族支援サービス事業の先駆者 加藤正則

それは一本の電話から始まりました。
 
「身元保証人になっていただけるとお聞きして電話いたしました。」
電話口の方が話しやすい様に、会話をすすめます。
聞くと、秋田市にいる兄が心配で契約をしたい、支払いは自分がすると言う実の妹さんからの相談内容でした。
 
本来、身元保証は本人の意思が最優先です。

しかし、この対象者は幾分頑なで、自分は必要ないと言っている様子が、妹さんのお話から聞き取れました。


 
説得して契約をすすめて欲しいとのご相談でした。
 
早速、対象者の佐藤さん(仮名)のアパートへお話に行きます。
 
第一印象は初対面の相手に対し腕組して警戒態勢万全の頑固そうな男性。
 
まずは本人の生活、興味、不安、家族などいろんな角度から会話をすすめていきます。
 
少し印象が変化したところで
身元保証 引き受けの内容を伝えていきます。
 
「私は一人でやってます。ずっとやってきた。必要性を感じない。」
はっきりと拒絶されました。
「あなたの言いたい事はわかる。でも今はいらない。」
 
同行し立ち会ったケアマネさんも苦笑い。
 
佐藤さんは肺ガンを患い、軽度の認知症も発症していました。
喫煙もしています。
 
佐藤さんは続けて「だいたい大勢でやってきて、なんだ。イライラする。」と言って煙草に火をつけます。
とりあう余地もない状態でした。
 
私は電話口で話した妹さんの言葉を思い出します。
「散々、好き勝手やってきて、奥さんにも子供にも見限られ、兄弟たちにも迷惑かけてきた。それでも、子供の時に一番仲の良かった兄なんです。ほっとけないんです。」
 
私はその言葉をお借りして佐藤さんにお伝えました。
佐藤さんはしばらく無言のまま煙草を吸い終わると、
「妹がそう言ってたのか。そうか」
「妹がそう言うなら仕方ない。任せます。」
そこからのやり取りはスムーズにすすみ契約を終える事となりました。
 
本来であれば身元保証の契約は本人の明確な意思が必要で、認知症の方とはご契約致しません。ですが、遠方であれ身内がおり要望し、
経済的状況の確認が出来たら主治医の判断も交えて契約をする場合もあります。
 
佐藤さんはまさしくそれでした。
 
月に一回の訪問、ケアマネさんとの情報共有で佐藤さんの生活状況が把握できていました。
しかし、
契約して数か月で認知機能の衰えが顕著になり、独居生活も厳しく施設入居を検討しなければならなくなりました。
本人は激しく抵抗していましたが、やはり最後は妹さんの直接電話での説得に諦めがついた様でした。
 
施設に入居を決め、身元保証人として対応し、佐藤さんのケアマネさん、施設の方との連携をよりとりあいます。
 
佐藤さんからご依頼を受け、アパートの解約手続き 固定電話の解約 公共料金解約 家財処分 保険の解約 本人確認が必要な解約手続きは難儀しましたが、常にケアマネさんや施設相談員さん等と連携していた事もあり知恵や対応に協力してくださいました。
いろいろな手続きも済み、施設での生活で佐藤さんも見違える様に顔色や体調の改善がみられました。
 
肺ガンを患っていたのに受診によって奇跡的になくなっていた事も確認できました。
 
でも、
「施設に入ったら終わり。生きる事に飽きた。もういつでもあっちの世界にいきたい。」と佐藤さんは言います。
諦めと進行していく認知症の中で孤独を抱えている様子です。
 
日々の生活や体調なども妹さんに施設と連携しながらお伝えをします。
 
ある日、「兄に話せるうちに会いにいきます。」
 
「もういつ死んでも仕方ない、遠くて会いにいくのも大変ですから、集骨も任せます。」と話して火葬代行も生前に申し込まれていた妹さんの心の変化が起きました。
 
対面の日は近く、でも年末に患ったコロナの影響か、前にもまして生きる事を諦め、投げ出している佐藤さん。
 
二人が対面した時、どんな時間になるのか、
二人は子供の時は兄妹の中で一番仲よし。
そんなお二人が笑顔でお互いの手をとって話せる時間となる場所つくりも
高齢者支援の業務の大事なひとつと考えています。