藤井青銅著「『日本の伝統』の正体」(柏書房)。
この著書の帯には「伝統を疑え!?」という言葉が添えられている。
それらの言葉に興味を覚え、さっそく入手。
その中身は
第一章 季節にすり寄る「伝統」
第二章 家庭の中の「伝統」
第三章 「江戸っぽい」と「都マジック」
第四章 「国」が先か?「伝統」が先か?
第五章 「神社仏閣」と「祭り」と「郷土芸能」
第六章 「外国」が「伝統」を創る
と、多岐にわたっている。
著者はそのまえがきで、
日本人は「伝統」にめっぽう弱い。「日本では古くからそうです」と言われればなんとなくありがたく思い、すぐに信用する。さらに「これぞ日本人の心」と重ねられれば納得し、従わなければならない気がしてきます。
と述べている。
さらに、そのあとがきでは、
「伝統」という看板を掲げてはいるけれど、その実態は「権益、権威の維持与保護」に過ぎないケースもあります。(中略)「伝統があって、人間がある」のではなく、「人間があって、伝統がある」。人は伝統の下僕ではありません。
とも述べている。
まずは、「夫婦同姓は伝統か?」の項。
・江戸時代は武士のみが「苗字帯刀」を許されていた。
・明治3年(1870年)に「平民苗字許可令」がだされ、庶民でも苗字を名乗ってもいいということになったがあくまでも任意。
・明治8年(1875年)になって「平民苗字必称義務例令」がだされ、苗字は義務になる。
・明治9年(1876年)に太政官令がだされ、「他家に嫁いだ婦女は、婚前の氏」とされ、苗字の始まりは夫婦別姓。
・明治31年(1898年)「(旧)民法」で初めて「夫婦同姓」が法制化されている。
家単位で国民を管理(家制度)することがその目的。
・昭和22年(1947年)「改正民法」によって、夫の姓、妻の姓のどちらを名乗ってよいことになったが、あくまでも夫婦同姓。
夫婦同姓が法的に義務付けられたのは126年前だという。
ぼくたち夫婦が結婚した1975年を起点とするとたかだか77年前。
そんなものが日本の古き良き時代の伝統だとでも言うのだろうか。
さて、次の話。
明治32年(1899年)に高等女学校令がだされている。
そこでの教育理念は「良妻賢母」。
即ち良妻とは「夫とその家族を愛し、よき跡継ぎをつくること」、そして賢母とは「従順、温和、貞淑あふれる母」ということ。
さらには後に「お国のために」という要素も加えられ日本の敗戦まで続く。
という話を続けようと考えていたが、ここで脱線をしようと思う。
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幾人かの方のブログやFacebookを訪問していると、NHKの朝ドラ「虎に翼」(月~~金の午前8:00~8:15)を視聴している方がけっこうおられる。
ぼくにとってもNHKの朝ドラを見るのは高校(中学?)時代の「おはなはん」以来。
約60年振り。
さて、ドラマは敗戦前に、
日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ、一人の女性の実話に基づくオリジナルストーリー
というもの。
良妻賢母という桎梏に抗う女性が主役。
ストーリーは既に第10週(敗戦後)に入っているが、現時点での見逃し配信では第9週目のダイジェスト版も視聴可能。
ということでそちらを紹介。
https://www.nhk.jp/p/toranitsubasa/ts/LG372WKPVV/list/
報道はいざ知らず、NHKは時に油断のならない番組を作ることがある、とぼくは思っている。