ぼくなどには複雑な国際政治の実態などはわからない。

また、イデオロギー論争に巻き込まれることもぼくの本意とするところではない。

ということで、日韓併合時代から日本の敗戦にかけて在日朝鮮人の人権がどのように差別を受けてきたのかに焦点を絞って本書を紹介していこうと思う

と、「北朝鮮へのエクソダス・・・①」で述べた。

その想いを今回も続ける。

なお、本書の著者(翻訳者?)が朝鮮国のことを北朝鮮と表記しているが、本書の紹介が主訴なのでそれに従った。

 

 

太平洋戦争が終わった時点で日本には二百万人以上の朝鮮人が住んでいた。そのなかには、強制的に日本に連行され、鉱山や工場で働かされていた人たちもいれば、社会的・経済的圧力に押されるように日本に移住してきた人たちもいた。日本が降伏するとすぐ、故郷に帰るための交通手段を求めて、日本に住んでいた何万人という朝鮮人が港湾都市に殺到した。1945年末以降はいわゆる“計画送還”が実施され、合わせて百万人以上の人たちが朝鮮半島南部に帰った。朝鮮半島北部には351人が帰国したところで、半島が二分され、南北間の関係が悪化したために、北朝鮮への帰国に終止符が打たれた。その間、朝鮮半島での政治的緊張と貧窮のために、多くの人たちが帰国できなくなり、結局60万人以上の朝鮮人が日本にとどまり、この国最大のマイノリティを形成することになった。

 

なぜ敗戦後の日本にそれほどの朝鮮人がいたのかということについては、1910年の日韓併合から日本の敗戦の1945年にいたるまでの35年間もの間、朝鮮半島と日本列島の間に国境はなく、どちらに住んでいる人も国籍上は等しく日本人だったということを想起しなければならない。

もちろん権利上の差別はあったが、それについては後に触れる。

 

済州島の守り神トルハルバン(石の爺さん)島のあちこちにあるそうだ。

ぼくはまだ済州島を訪れていない。コロナが落ち着いたらぜひ行ってみたいと

思っている。


 

また、南北間の関係が悪化したとも述べられているが、それは1948年3月の済州島四・三運動1950年6月の朝鮮戦争の勃発などを指している。

それらのことに関してはぼくなりの感想を持っているが、それに触れると本旨から離れすぎるような気がする。

Wikipediaの記載をリンクを貼っておくにとどめる。

あえて蛇足を加えるなら、1948年はぼくが生まれた年

 

1948年、済州島で四・三運動がおきていたころ日本政府は、文部省の設定した教育水準に達していないとして、日本国内の朝鮮民族学校の閉鎖にのりだしている。

この姿勢は現在も変わらず続いており、今も民族学校を学校とは認めていない

当然、日本小中学校が受けているような経済的な援助は一切していない。

さらに、日本政府は1950年には在日朝鮮人の韓国への強制送還を検討してさえいる。

しかし、「この計画には技術的な差し障りが少々あった」と本書は記している。

 

1936年のベルリンオリンピックにおいて日本代表としてマラソンに出場し優勝した孫基(ソン・キジョン)選手

KOREAと書かれた胸のゼッケンはゴールした時の写真との合成。

 

太平洋戦争終結まで、朝鮮および台湾の日本植民地“臣民”は国際法上は“日本人”だった。帝国外にでるときには大日本帝国旅券を携えたたし、オリンピックでは日本代表として競技したのである。そのために、日本帝国が崩壊したときには、ほかの総ての帝国が終焉したときと同様、国籍という重要な問題が生じた。連合軍当局は占領機関中一貫して、日本と新たに独立した朝鮮とのあいだになんらかの合意が成立するまで、日本在留の朝鮮人は日本国籍を保持する立場を守った

つまり、日本政府が送還したいと願う“危険分子”(なにをもっt、そう定義できるのか?)は、国際法上は日本国籍を持っていた。

多くが日本で生れ、ずっと日本で生きてきた人たちだった。

 

同じ大会においてやはり日本代表として出場し、第3位の銅を獲得した南 昇竜(ナム・スンニョン)選手(左側)、

孫基禎(ソン・キジョン)選手(中央)が1位になったことより、胸の日章旗を隠せる苗木を持っているのがうらやましかった」と語ったといわれる。

 

想像してほしい。

北海道や九州から仕事を求めて、あるいは勉学のために東京や大阪にやって来て、苦労の末にやっと仕事も家族(子どももいる)も手に入れることができた人たちに対して、政府から突然「お前たちはもういらないから海の向こうに帰れ」などという理不尽な要求を突き付けられたとすれば、その事態をどう受け止められるのかを。

 

まだ、「北朝鮮へのエクソダス」の紹介は終わらない。

ぼくのブログは、長くなりすぎないこと、そして短い文で構成することを旨としている。

近いうちに、「北朝鮮へのエクソダスー・・・③」をアップすることを約束して今回は終わろうと思う。