株価を決めるのは何か 2024.3.27(水)日本経済新聞 | 遊びを仕事・学びに 仕事・学びを遊びに 豊かな人生をつくるストーリー「MATSUBARA」 Amebaブログ

遊びを仕事・学びに 仕事・学びを遊びに 豊かな人生をつくるストーリー「MATSUBARA」 Amebaブログ

遊びで仕事する・学ぶから日々が楽しく充実できる。

仕事・学びで遊ぶから、日々が楽しく充実できる。

豊かな人生とは何か、共に考えていきましょう。

株価は「企業が資本コストを上回る利益を上げられるかどうか」に依存している。



2月22日、日経平均株価が34年ぶりに高値を更新した。賃金と物価の上昇に好循環の兆しが見られ、バブル崩壊後の経済停滞から抜け出す可能性が出ていることも背景にあるといわれる。一方で、日本が突然様変わりするかのような、どこか浮ついたムードも感じさせた。

歴史のある伝統的なJTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー)とされる企業が、そう簡単に価値創造企業に転換するとも思えない。むしろ忖度(そんたく)文化が隅々まで浸透して保守的になり、波風を立てない風潮が強まっているとの声さえ聞こえてくる。

高値更新が需給動向や経済政策などで解説されているのが気がかりだ。中国を回避した投資マネーの日本市場への流入、賃上げによるデフレ脱却への期待、日銀のマイナス金利解除への政策転換、といった具合だ。

株式市場は金融政策など経済政策を評価する場ではない。あくまでも上場企業の経営を評価する場のはずだ。日経平均は34年前の水準を更新したが、個々の株価推移は実に様々だ。この事実を需給動向や経済政策で解説するのは無理がある。どのような推移をたどったか検証すると、34年間で投資家にプラスのリターンをもたらした企業は概ね300社程度でしかない(時価総額1000億円以上)。

ニトリ、ディスコ、東京エレクトロン、キーエンスなどが代表企業だ。それ以外の多くの企業は残念ながらマイナスリターンだ。株価は個々の企業で全く異なる展開を示しているのが実態といえる。

株価は短期的に需給や財政・金融政策の影響を受けることは否定しない。しかし、中長期的には株価は企業のファンダメンタル価値に収れんする。そのことを強調したのが証券アナリスト制度の父ともされるベンジャミン・グレアム氏だ。

グレアム氏は企業の利益に着目し、限られた過小評価企業だけを長期保有する重要性を説いた。その流れをくむのがオマハの賢人ともいわれるウォーレン・バフェット氏である。バフェット氏が着目するのはあくまで企業のファンダメンタル価値でありマクロの経済政策ではない。株価は「企業が資本コストを上回る利益を上げられるかどうか」に依存していることを改めて確認したい。

(青天)