ミステリと言う勿れ 第2話に出てきたシーンで、
子供がほしいのに
「体外受精で妊娠することは神の領域だから、やりたくない」
と夫に言われて苦しむ子に対して、
菅田将暉さんが
「人間は自然の生き物だから、人間がすることはすべて自然のこと」
と言っていました。
初めは、
「いやー菅田さん、いいこと言うなー。」呑気
って単純に思ったのですが、
その後、わなわなしてきてしまい、なかなか収まらないのです。
なんだろうな、この正体は、ということを整理しようと思います。
①神の領域、だと
この意見は実は珍しいものではありません。
女性が
「そろそろ体外まで考えているんだよね」
という言葉に対して、このように反応する人もいますし、
「まだ早いんじゃない?」
と疑問を呈する男性もいますが、
一部は根っこは同じ感情を持っているのではないかと思います。
確かに、なんとなくのイメージでは、
試験管ベビー
とか
SFっぽい感じの想像
をしてしまうこともあるのかもしれないですが、
個人的にはさすがにそれは無知がすぎるぞ、と思うのです。
現在生まれてくるお子さんの14人に1人が体外受精の出生児です。
小学校のクラスにいったら2-3人は普通にいることになります。
それが神の技術なら、流石に神の登場頻度は高すぎませんか。
神頑張りすぎ。
あくまでも、個人的な体験談ですが、
この不妊治療という極めてデリケートなテーマにおいて、
男性は無知による過剰な拒否反応を起こすことが結構あるなと思っています。
最近はオンラインセミナーばかりになってしまって、ノンバーバルな部分の読み取りが難しくなってしまっているんですが、これまで対面で行ってきた中で、男性の多くは腕を組んで、足も組んで、まぁ斜めにかまえて参加くださっていました。
しかし、医師による解説などで、論理的な解釈ができるようになると、
帰る頃には積極的に質問をするなど、治療に対する態度がかなり変わっていた印象があります。
だから実はこれは「無知による抵抗感」
だったのではないかと思うのです。
関係ないけど、もう一つ言いたいです。
全ての施設はわからないですが、
少なくとも私のいる施設のスタッフたちは、
日々成功と失敗から学び、1%でも妊娠率が高まるように努力を続けています。
もし本当にこの技術が神の領域であるなら、
こんなに悩み、苦労をする必要なんてないじゃないですか。
不妊治療の歴史はまさに、救いたいという一心で、
目の前の失敗に立ち向かい続けてきた科学の歴史だと思うのです。
だから、なんかずっとこの言葉が許せなかったんだということが腑に落ちて、
ようやくクールダウンしてきました。(自己満)
また、個人的に一番良くないなと思う言葉は、
「君の好きにしたら良いよ」
という言葉です。
妊娠は夫婦2人で行うもので、生まれてきた子供は2人の子供。
だけど、治療にしたって、出産にしたって、仕事にしたって、
負担が高まるのは女性ばかりです。
でも子供が生まれたら
その状況でこの言葉は音色が一瞬よく聞こえるだけで、
突き放しているだけだと思うんです。
(極論、どうでもいいぜ、って言っているように聞こえる)
まぁあくまでも僕自身の感性です、これは。
ただ、別に男性を擁護するわけじゃないのですが、
男女の思考傾向の差は確実にあります。
感情的に話す女性 論理的に話す男性
という構図はよく知られたところです。
この一般的な傾向からすれば、
女性はYesとかNoとか、判断を求めているのではなく、
ただ聞いてほしい。受け入れてほしい。
という感情を元に会話している傾向があるとも言われます。
さて、男の度量が問われるところですね笑
SNS全盛の時代、どうしたっていろいろな情報が放っておいても入ってくるでしょうし、その中で他人との比較をしてしまいがちな方もいるでしょうし、そういうことが嫌いな方もいます。
不妊治療は女性への負担が決定的に重たいぞということをお互いに理解した上で、男女ともに、相手側の思考傾向に則って伝えていく必要があります。
また誤解を恐れずに言えば、誰から言われるか、というのも重要な点だと思います。
もちろん、2人の治療なんだけど、女性に指摘されてしまうのが嫌な男性もいると思います。
女性からすれば、自らの日々の負担が大きいから、
そういう感情ものっかって、うまくいえないかもしれないです。
ときにぞんざいな言い方になることもあるかもしれません。
議論のゴールは夫婦お二人の理解が揃って、
治療に前向きに取り組むことだとするのであれば、
必ずしも自分で伝えるということにこだわる必要はないと思います。
うまく外部の人、医療機関の人(相手よりも専門的ではあるが、利害関係はない)を
上手につかって、目的を達成できると良いですね。
最後に、男性に理解してほしいこととして、
女性にしかない体験の1つに
「月経」
があります。
この領域では「リセット」という言葉が使われますよね。
・基礎体温も毎日測ってきた
・毎日の食事や運動も気をつけてきた
・排卵日近くにはパートナーに予定を調整してとお願いした
(普通お願いしてするようなもんじゃないのに!)
ここでは書ききれないような努力を日々し、
その想いの強さゆえに、もう子供ができるイメージまで持つ方もいるといいます。
そのような方に突然に訪れるのが月経であり、
女性が受けるショックとしては、流産に相当すると言われます。
その状況で
「また頑張ろう!」
はなかなかタフな声掛けです。
結果云々に関わらず、もう既に十分に頑張っている
ということを認めてほしいと願います。
自分自身の怒りの棚卸しでした。
我ながら、大概僕もこじらせちゃってますね。
さて、今日も観ようっと。