本屋に入るとウンコしたくなるのは何故か

「本屋に入るとウンコしたくなるのは何故か」といったことが、1998年の初頭から、いくつかのTV番組や週刊誌にとりあげられ、話題になっている。

 私もかねてからこのような経験をしているし、身近な人々からもこのような話をよく聞く。かなり多くの人々は本屋に入るとウンコしたくなるようである。

 それでは何故ウンコしたくなるのか。

 これについては次の諸説が提唱されている。

(1) トラウマ即ち心的後遺症に基づくという説

 本を見ることは人をリラックスさせる。リラックスすると生理的に活性化する。これがトイレに行きたくなる欲求の引き金となり、一度トイレに行きたい欲求を体験すると、次からは条件反射的にトイレに行きたくなる。という考え方である。

 心理学者の富田氏などはこれに近い考え方をしているようであるが、歯切れが悪く、本人も苦しい説明であることを理解しているようである。

 心的後遺症がないと考えられる幼児でも本屋に入るとウンコしたいと言い出す子供が多いといわれており、納得性に欠ける説である。

(2) 紙、インクの臭いが便意を誘うという説

 この説は「紙」と「ウンコ」の相互関係から何となく納得できそうであるが、現実には数多くの矛盾点があり、そのまま一義的に受け入れることはできない。

 概して大学教授の研究室内の整理整頓状況は極めて悪い。本や資料の中に埋もれ、かろうじて人一人歩くことが出来る通路と自分だけが座れる椅子のある場所以外は立錐の余地がないほど乱雑な人もいる。紙の臭いが便意を誘うとすれば、多くの大学教授は研究室にいる時間よりもトイレに座っている時間の方が長いに違いない。

(3) 狭い空間に大きく動かずに立っていることが便意を誘うという説

 これは1998年11月に放映されたある番組の中で提唱された考えであるが、この説を実証するための実験もかなり怪しいもので、無理がある。

 現在の大型書店の内部は混雑はしているが決して狭くはない。狭く混雑しており、大きく動くことの出来ない状況の典型的なものはラッシュ時間帯の乗り物である。ラッシュ時の乗り物に乗ったら、多くの人がウンコしたくなったという話しは聞いたことがない。

(4) 本を手にとり、マブタを伏せて読んでいる姿勢が便意を誘うという説

 信州大学医学部の松尾教授の説で、1998年12月に発行されたある週刊誌に上前淳一郎氏が紹介している。それによれば「マブタを大きく見開けば交感神経のスイッチが入り、マブタを伏せて半眼になればスイッチが切れる。交感神経のスイッチが入れば緊張しているので便意を催さないが、本屋で本を手にとりマブタを伏せて読むとスイッチが切れ、緊張がほどけ便意を催す」とされている。

 もっともらしいが、それならば電車に乗ってマブタを伏せて本を読んでもウンコしたくならないのは何故か? こんな単純な疑問にたいしても説明が出来ていない。

(5) プレッシャー説

 1999年1月TV放映で、本屋でウンコしたくなる最も重要な因子として紹介されたのがこの「プレッシャー説」である。

 本屋にはトイレがないか、あっても少ない。また、本屋はトイレを借りる場所ではない、と考えるのが一般的である。従って、本屋に入るとトイレに行けないというプレッシャーが発生する。このプレッシャーが結果として便意を催すことにつながる、というのである。

 何となく納得できそうな説である。しかしながら、このようなプレッシャーは本屋でなくとも、例えば、車で高速道路を走行中の時などでもしばしば経験する。つまり、この説は本屋の中だけで経験する便意の解明にはなっていないのである。

 以上が主な説であるが、何れもすんなりと受け入れられるようなものではない。

 要するに、本当の理由は誰にも分かっていないのである。

 本屋でウンコしたくなるメカニズムは次のように考えられないだろうか。

 細胞表面に大腸の蠕動運動の亢進を司るリセプターがあり、これに結合するもの乃至は作用するもの(物質とは限らない)が本屋の中に存在していると考えられる。一方、体内にはインターロイキンの一種である抑制因子が存在する。抑制因子の量には当然であるが個体差があり、量の少ない人は、リセプターから中枢へのシグナル伝達がおこなわれ、結果として、便意を催すのであろう。抑制因子の少ない人が世の中には案外大勢いるのではないか。

ってのがありました。