皆様、こんばんは。

温かい雨が降っています。

春の雨、、、、のような。

本当に春は、すぐそこ ですね。




私は普段あまりテレビを見ません。

新聞も夫亡き後、購読をやめました。

なので、時事にとても疎いです。 

そんな私でも、大谷選手のあの話題は、小耳に入って来ます。



そして、ふと、夫の告別式の時を思い出してしまいました。



金額も、ケースも、全然違うのだけど、

なんだか連想ゲームのように思い出すエピソードがあるのです…




  *********




夫はお酒飲みではあったけど、

本質的には、とても真面目な男だった、、、と、思う。

それ故に、社畜のように会社人間だった。


夫のお父さん(私にとって義父)から、

「会社に自分の人生、時間を全て捧げる事ほどもったいない事はないぞ」

と、常々言われていても、やはり気がつくと、彼の殆ど全てを捧げていたと思う。


だから、家の事、子育て、地域の付き合い、等々は全てもちろん私が担当だった。

子供の入学、卒業、参観日などイベントはいつも私ひとり。

夫が生きていても、私ひとりで参加する事が殆どだった。


唯一、年に数回の家族旅行やキャンプだけが

両親揃った、家族4人の時間だった。


それくらい仕事を頑張っていたので、比較的昇進は順調だった。

ちょうど40代。

癌が発覚する7~8年前。


夫の部下の中のひとり、一番若手の男性社員が、

会社のお金を使い込んだ。

彼の名は『M野』 水原に似てなくもない名前。


使い込んだ額は

約、500万円。


半年ほどかけて、少しずつ引き出していたらしい。

7億からみると、小さな金額だが、庶民にとっては大金である。



当時の事をはっきり覚えている。

金曜日だった。

翌日からの週末は、私の両親の金婚式のお祝いで信州の温泉に行く事になっていた。


憔悴した声で、夫からかかって来た電話。


「ごめんママ。M野がこんな事やっちまって、、、。わりぃけど、明日からの温泉行けないわ。

 これから、色々ちょっと大変だと思う。今回は、子供達連れて行って来て。

 お父さんとお母さんに事情を話して謝っといて。」



30歳独身男性社員のM野は、会社のお金で

投資のような、マルチのような、ギャンブルのような、

とにかく小遣い稼ぎがしたくて、何か怪しいものに手を出していたらしい。


結局、M野の両親が、その使い込んだお金を全額会社に弁済して、

彼は退職。

懲戒解雇になってしまうと、まだ若い彼の先の人生に差し障るからと、

自主退職扱いになるように、夫が尽力していた。


その夫だって、

上司として、管理職として、部下の不祥事を未然に防げなかったという事で

数ヶ月減給になった。


夫は普段から、M野の事をとても気にかけて、可愛がっていた。

そんな形で、裏切られたことが、とてもショックだったようだ。


私は、そんなバカ造のM野を助けるなんて、、、と

夫に対して、「あなたはお人好しすぎる、だからそんな事されるのよ」

みたいなことを言ってしまった。


今になって、とても後悔している。




そして、数年後、

夫の告別式に、誰から聞いたのか、M野が来ていた。

会社を、不祥事で去る事になって、その会社の面々がたくさんいるにも関わらず

彼は来ていた。

結構な勇気が必要だったと思う。


そして、かなり目立つくらい顔を真っ赤にして

オイオイと男泣きしていた。



でも、その時私は、彼のそばに行く気になれなかった。


もし、彼の近くに行ってしまったら、

「あなたが馬鹿げた使い込みをしたせいで、夫まで、とばっちりを受けて

 大変な迷惑がかったんだから。

 癌を発症したのだって、あなたがかけた心労のせいもあるかも知れない。

 どうしてくれるのよ!」

と、彼に詰め寄ってしまった気もする。


生真面目で、心配症だった夫。


不器用だけど、深いところで人に優しかった夫。


そんな夫を、生前、肯定してねぎらう事が出来なかった

大馬鹿者の私。




大谷選手のあの事件の報道を目にするたびに、

数年前の夫の事を思い出してしまう。



もう、どうしても取り返しがつかない。




だから、少し、せつなくなる。









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