新郎新婦の出会いまで、そして馴れ初めのナレーション。
別々に生きてた二人。
でも同じ時間、時空を生きてた二人。
しかし、ひょんなきっかけでこうやってお互いの道が一つに交わるんだと、改めて「運命」というものを感じずにはいられなかった。
「続きまして、新婦様のご友人のスピーチです。」
…!
ブライズメイドでもあったそのご友人は丁寧な挨拶の後に花嫁に向け、手紙を読んだ。
二人の思い出や絆…
友人と花嫁のその涙はまるでガラスの靴にできるんじゃないかって程、キラキラしていた。
みんなも泣いた。私も泣いた。
「続きまして、新郎のお姉さまによるスピーチです。高橋メアリージュン 様よろしくお願い致します。」
…この時が来たか。
実はスピーチを清書する時間もなく、
i Padに殴り書きしたメモを印刷し、小さいbagに詰め込んだクシャクシャな紙は手元にあった。
色んな意味で席に置いて行った。
席を立ち、新郎新婦の方に向かう。
〈大丈夫。たくさん練習した。考えまくった。
あとは本当にあった事、本当の思いを、心の言葉を丁寧に伝えればいい。本番は一度だけだから〉
新郎新婦の、新郎側に立ち、
大好きなタイタニックの主題歌「My heart will go on」のピアノ演奏が流れ、会場の照明が暗くなる中、こちらにスポットライトが当てられた。
「メアリー!」
「メアー!」「お姉チャーン!」
「メアジュン!」
ザワザワザワ、
ガヤガヤガヤガヤ。
…せやった。
弟も私も地元は滋賀県。
親戚や友達はほぼ関西人。
めっちゃガヤが賑やかやった。
しかし、静かになるのを待った。
ザワザワ
ガヤガヤ
「・・・」
ザワッ
ガヤッ
「・・・・・」
ファサッ
・・・・・・・・・・・・
・・・・
今だ。