・11月22日
  道。
  二人で帰っている、野乃子と優輝。
  野乃子はルンルン、優輝の表情は暗い。

ののこ「それでね、そしたら笑われちゃってねー、ひどいの!」
ゆうき「…そっか」

  野乃子、ようやく優輝が変なことに気づいて。
ののこ「優輝くん、どうかした?なんか元気ない、よね…」
ゆうき「えっ…あぁ、ちょっとな。
    最近、部活がうまくいってなくてさ。
今日もミス連発だったし、いい加減コーチからも怒られちゃって。
…レギュラー外されるかもしれないんだ」
  優輝、自嘲っぽく。
ののこ「えぇっ、そんな…」
  驚く野乃子。なんと言っていいか分からず、少し黙る。

ゆうき「全くマヌケだよなー」
  話し続ける優輝。
  野乃子、ちょっと優輝に背を向け、鞄の中のマカロンにこっそり相談する。
ののこ「どうしよーっ、優輝くん、真剣に悩んでるみたい…!
    なんて言ってあげればいいかな、マカロン!」
マカロン「そうだなぁ…ずっと悩んでばっかりいるのも良くないし、
いっそ話をガラッと変えてみるのはどうかな?
ホラ、この間のテストのご褒美の話とか」
ののこ「そっか、わかった!」
  野乃子、深く考えずに。

ゆうき「プロ目指すとか宣言しといてコレかよーみたいな」
野乃子とマカロンの会話に気づかず話し続ける優輝。
野乃子、優輝に向き直って。

ののこ「えーっと、優輝くんっ。
部活も大変かもだけど、たまには他の事も考えようよ!」
ゆうき「え…?」
ののこ「悩んでばっかりいても楽しくないし、ね!
    そんなことより、この間のテストのとき…」
  遮って。優輝、怒る。
ゆうき「そんなことより?なんだよ、その言い方!
   そーだよな、花町には関係のない話だよな!
花町にとっちゃ他人事だろうけど、でも俺には重要な問題なんだよ!
それを、そんなどうでもいいことみたいに…!」
ののこ「そ、そんなつもりじゃなくて!」
  予想外の優輝の反応に焦る野乃子。

ゆうき「…悪かったな、興味のない話ばっかして。
    俺、先に帰るから」
  走り去ってしまう優輝。ぽつんと取り残される野乃子。
  
ショックで泣き出す。
ののこ「そんな…ののこは 優輝くんを励まそうと思って言っただけなのに…
   優輝くん、すごい怒っちゃった…!どうしよう…!」
マカロン「野乃子、今のは仕方ないよ。
     優輝くんにとっての問題なんて、僕らにはわからないし…」
野乃子「マカロン…
そうだ、マカロンが、話題かえたらなんて言ったから!
    マカロンのせいだよ!」
マカロン「えっ、そんな…」
野乃子「マカロンがあんなこと言わなければ、
ののこだって話かえたりしなかったもん!
どーしてくれるのよ!マカロンの馬鹿!
何が恋のキューピッドよ、マカロンなんてもう知らない!!」

  野乃子、マカロンに八つ当たり。
  鞄に入れていたマカロンを出して、そこに置いて帰ってしまう。
マカロン「野乃子…」


  ののこの部屋。
  ぐったりする野乃子。
ののこ「ちょっと、やり過ぎたかなぁ…
でもアレは、マカロンが悪いんだもん!」
  罪悪感は感じつつも、まだ自分は悪くないと思っている。

カチ、コチ…(時計のカット。時間の経過を表す
時間が経つにつれて、罪悪感が募る野乃子。
ののこ「うぅ…」

    『そういえばののこ、最初からマカロンに頼ってばっかりで、
ぜんぜん自分で考えて行動してなかった…
優輝くんのことだって、あんなにいつも部活がんばってるんだもん、
レギュラー外されるのがどれだけ問題かなんて、
ちょっと考えればわかることじゃない…!
それを全部、マカロンのせいにして。
マカロンはいつだって、ののこの為にいろいろ考えて
アドバイスしてくれてたのに…!』
  マカロンとの回想。
  
  野乃子、部屋をとびだす。
ののこ「ごめんねマカロン!」


  道。
  マカロンを置いていった場所まで走る野乃子。
  途中、曲がり角を曲がる際に誰かとぶつかってしまう。
ののこ「きゃっ、ごめんなさ…
    って、優輝くん!?」
ゆうき「花町!?」

ゆうき「アレからずっと考えてたんだけど、
さっきはごめんな!マジどうかしてた。
    花町はそんなつもりで言ったんじゃないって、わかってたのに…!
    最近、部活のこととなるとついピリピリしちゃってさ。
    謝ろうと思って、探してたんだ!」
ののこ「そんな、違うよ、優輝くんは悪くない!ののこが悪かったの!
    優輝くんが真剣に悩んでたのに…無神経だった。
    ホントにごめんね!」
ゆうき「花町…いいんだ、ありがとな」

  そのとき初めて、優輝が持っているものに気づく野乃子。
ののこ「あっ、マカロン!?」
ゆうき「あぁコレ、やっぱり花町のだったか。
    なぜかうちの前に落ちててさ。
    …悪い、リボン、見ちまった」
  ほどいたリボンを見せながら。

回想
『好きな人の名前と自分の名前をリボンの端と端に…』(梨音の声

優輝、照れて。野乃子、慌てる。
ののこ「えぇっ!?それはねっ、えぇっと…」
ゆうき「そのおまじないさ、俺が知ってるヤツと同じだったら、
    スゲー嬉しいんだけど…一緒かな」
ののこ「えっ?それってどういう…」

ゆうき「好きなんだ、俺。花町のこと。
花町も同じ気持ちだったら嬉しい、って意味」

ののこ「うそ、夢みたい…!優輝くんと、両思いなんて!
ののこも好きだよ、優輝くんのこと!大好き!」
ゆうき「マジで?超嬉しい(ニコッ

  抱き合う二人。