こんにちは。
先日『ソウルフル・ワールド』について書いたのですが、その日のアクセス数がすごく跳ね上がって驚きました。
私のブログは人気ないんですけれどね(自虐)
そこで今日は、作品のもう少し深いところをご紹介します。
『ソウルフル・ワールド』は、プラトンやサルトルなどの哲学をこれでもかって引用した作品です。
監督自身も語っています。
『そもそも今作が子ども向けの映画とは考えていません』
詳しくは、ぜひ監督のインタビューを読んでください。とても素晴らしいことを話しています。
『人生とはその人のものであり、何も達成できていないとか、期待に応えられていないとか、そういう問題ではないのです』
哲学って聞くと、すごく難しそうな気がするけれど『ナルニア国物語』などもプラトンのイデア論が引用されています。
同じく、プラトンから引用されている作品に『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』があります。
オフ・ブロードウェイから火が付き、世界中で演じられたロック・ミュージカル。
売れないロック歌手のヘドウィグ(ハンセル)は、ベルリンの壁があった頃に東ドイツ生まれたトランスセクシャル。
アメリカのロックに憧れて育った。
青年時代のハンセルは、アメリカ軍の軍人からプロポーズされる。
アメリカに憧れるハンセルに、母親は自分の名前”ヘドウィグ”とパスポートを与えて性別適合手術を受けさせた。
東西冷戦下に於いて、西側の女性が安全にアメリカに渡るには、結婚するのが唯一の道だから。
けれど手術は失敗。
股間に「怒りの1インチ(アングリー・インチ)」が残されてしまった。
ふたりはアメリカで結婚したが、最初の結婚記念日に、軍人はヘドウィグの元を去る。
奇しくもその日はベルリンの壁が壊された日だった。
ヘドウィグは、ロック歌手になる夢を思いだしバンドを結成、自分の人生を歌っていた。
ある日、ロックスターに憧れる17歳の少年トミーと出会う。
ヘドウィグはトミーを愛し、ロックの全てを教える。
けれど、ヘドウィグがトランスセクシャルであること知ったトミーもヘドウィグの元を去ってしまった。
まだまだセクシャルマイノリティへの偏見がある時代なのだ。
その後、トミーはヘドウィグの歌『オリジン・オブ・ラブ』を盗用して人気絶頂のロックスターになった。
トミーとの関係がスキャンダルになったことでヘドウィグも一躍注目を浴びる。
トミーのライブを追いかけて巡業するヘドウィグ。
トミーの歌を聴き、ヘドウィグは壊れてしまう。そして生まれたままの姿で、どこかに向かうのだった。
日本では、三上博史さん・山本耕史さん・森山未來さんなど、多くの俳優が舞台で演じました。
作品の中でヘドウィグが歌う【オリジン・オブ・ラブ】は、プラトンの『饗宴』にインスパイアされた歌詞です。
ニコニコ動画のリンクを貼っておきます。
コメントがうっとおしい人は、画面右下の吹き出しマークで非表示にできます。
ぜひ訳とアニメを見ながら聴いてください。
キュンキュンするフレーズの連続です。
この【オリジン・オブ・ラブ】に心を射抜かれる人は多く、公開当時、映画館では涙していた人が多かったんですよ。
サウンドトラックもオススメ。
どの曲も素晴らしい!
【プラトンの饗宴/愛の起源部分】
人間はもともと背中合わせの一体(アンドロギュノス)であったが、神によって2体に切り離された。
だから人間は、互いに失われた半身を求め、
男らしい男は男を求め、女らしい女は女を求め、
多くの中途半端な人間は互いに異性を求めるのだ。
配偶者のことを”one's better half” ”one's other half” というのは、この説話に由来している。
哲学書は無理して読む必要は無いけれど、こうやって作品に反映されていると理解しやすいと思います。
紀元前400年ほど前の思想が現代にも生きているから、何かを感じ取れたら十分。
哲学って「人生とはなんだろう?」って考える学問でもありますから、生きることがすでに哲学なんですね。
偶然ですが、私は『ナルニア国物語』も『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』も『ソウルフル・ワールド』も、感動で泣きました。
(ナルニアは子供の頃は、その神髄がわからなかったから大人になってからですけれど)
私は、プラトンの思想(イデア論)が好きなのかしら?
案外、自分でも気が付いていないものですねwww
今日も読んでいただきありがとうございます。