アメリカのゴルフチャンネルはメジャーの試合のたびに、中継とは別にLive From ○○○○という番組をやる。

今週はLive From US Openというわけだ。試合が始まる前と終わった後と、このようにアナウンサーと解説者が話す。

左からキャスターのリッチ・ラーナー、女性は元LPGAプレーヤー、中央が元ヨーロッパツァープレーヤーのポール・マッギンリー、その右が元PGAツァープレーヤーでゴルフチャンネルの解説者ブランデル・シャンブリー(今週は抜擢されて全米オープンのテレビ中継でも解説をやった)、一番右はゴルフジャーナリスト。

 

 

試合が終わり、この番組が始まったとき、彼らはたった今、親友の訃報を聞いたような表情だった。

彼らにとっても、それほどマッキロイの負け方は衝撃的だったのだろう。

各自がマッキロイが勝てなかった理由を分析して話していくが、ブランデル・シャンブリーとポール・マッギンリーは議論になり、二人とも顔を赤くして相手の説を否定し、自説を押し通そうとしていた。

 

ゴルフ界もゴルフファンも、優勝はブライソン・デシャンボーとマッキロイの戦いになるだろうと予想していたろう。

3打先行でスタートしたデシャンボーは今日フェアウェイを外し続けている。

4番でボギーにして、マッキロイは10番をバーディーにして一瞬追いつく。

そしてデシャンボーが12番でボギーにした後、マッキロイが13番短いパー4でバーディーを取り、ついに逆転した。マッキロイ−8。

 

14番でティーショットが左ネイティブエリアに行ったが、パーセーブ。

ー8を守れば優勝できると思ったが、全米オープンのサンデーバック9でそんなわけない。

 

15番205ヤード、今日はバーディーにしたのが一人しかいないという。

ローリーが先にティーショット。パー3で先に打つのは損が、ここでも当てはまったと言えまいか?

7番アイアンで大きすぎグリーン奧のラフ。高い草のそば。

カントレーは7番アイアンでグリーンに止まった。「マッキロイはアドレナリンが出ていたのか・・。カントレーが7番なら彼は8番アイアンで打つべきだった」と解説者が言う。

万が一にも手前に戻ってこないようにチップして、ここのボギーは仕方がない。

デシャンボーも15番で短いパットを外してボギー、−6にしたから、ここで同スコアになった。

 

16番540ヤードのパー4。

マッキロイはフェアウェイから残り189ヤード。9番アイアンで、ピンの左下。

バーディーパットはカップ右へ。先にカントレーがパーパットを外し、マッキロイは2フィート6インチ(70cm)の短いパーパット。

変なストロークするな、と思ったらボールはカップ左へ。

 

マッキロイはPGAツァーの今シーズン、3フィート以内(90cm)のパットが496回あり、496回全て入れていると言う。497回目で外した。

 

17番220ヤードで、6番アイアンで左バンカーに入れた。今回はカントレーがグリーン奥まで転がり落ちた後だった。マッキロイの6番アイアンは大きすぎるのではと思った。パーセーブ。

 

デシャンボーは、この17番でピン下18フィート(5.4メートル)に打った。良いショットだった。

バーディーパットはショートしたが、すでに勢いはデシャンボーの方にある気がした。

 

18番441ヤード、少なくともパーにしなければならない。

カントレーは右のネイティブエリアへ、マッキロイは左のネイティブエリア。

残り123Yだったが、グリーンにショート。

チップショットを打とうとする時、振り返ってデシャンボーが左ネイティブエリアに打ち込むのを見た。

チップショットは、解説のシャンブリーが「ちょっと強すぎた。あのパットは難しい」と言う。

3フィート9インチ、1.1メートル。

下りの左から右へ曲がるパットだった。これを外して、ギャラリーが、USA、USAと囃す。

ここがアメリカの若いゴルフファンの品がないところ。

2日目ぐらいからデシャンボーが良いプレーをすると、USA、USAという声が聞こえて実に嫌な気分だった。

 

プレーオフに行けるかどうかは人頼みになった。

この全米オープンに優勝するため、あらゆる準備をしてきたデシャンボーが逃すわけはなかった。

バンカーから素晴らしいショットをピン下に打って、これも1メートルちょっと。

容易な上りパットでデシャンボーが勝ち切った。

 

スコア室でテレビ画面を見るマッキロイは、見る者も辛い。

さっさと車にキャディーバッグを積んでコースを去った。

 

2014年のPGAチャンピョンシップ以来、メジャー優勝がないマッキロイは記者会見のたびに聞かれ、グランドスラムがかかるマスターズの度に聞かれる。

2022年のマスターズで2位(優勝スコッティー・シャフラー)、2022年の全英オープンで3位、最終日首位タイでスタート(優勝はカメロン・スミス)、去年の全米オープンで2位(ウィンダム・クラーク)

 

今回は最も酷い負けた方だったと誰もが言う。

 

マッキロイは2011年に全米オープンに優勝して2014年までに4つのメジャーに勝った。

(21歳から25歳の間)

当時、自分はrussless(非情)だった、あの頃はそんな自分が嫌だったが、今、人間としてではなくプレーヤーとしてあのruthlessnessが欲しいと最近人に語ったそうだ。

 

そのruthlessnessを最も持っていたのがタイガーでしょうね。

彼はピークの頃、1打差よりも2打差、2打差よりも3打差、4打差よりも5打差をつけて勝ちたいというメンタリティーだった。

 

 

(画像はGolf.comより拝借)

 

見聞きするところでは、LIVゴルフに行っても弛まぬ努力をしているのはデシャンボーだった。

大体において、メジャーは勝つに値する人が勝つものだと思う。

 

松山が追いつけるとは毛頭思わなかったが、ショットもパットも良かったのは1日だけ、悪いところをラウンド後の練習で修整を試みながら、6位は彼ならではと思う。

全英オープンに期待したい。

 

パインハーストNo2はなかなか良かった。グリーンもアンプレーヤブルになる前に踏みとどまった。

優勝スコア−6、アンダーパーが8人で、全米オープンにちょうど良い仕上がりだったのではと思う。

 

 

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