私は両親に対して心の壁があります。
この話をすると、自業自得とか思うかもしれませんが、私が両親に対して心の壁が出来たきっかけがあります。
あれは私が小学生の頃の話ですが、今は亡くなった祖父のことが大好きで、おじいちゃんっ子でした。
おじいちゃんっ子だった理由は父親が厳しく、かつ遅くまで仕事していたので、顔を合わせることがなかったので、良く遊んでくれる祖父が大好きになりました。
しかし、おじいちゃんっ子でありながらも、物欲も人並み以上にあった私は、祖父の財布からお金をくすねていました。
心のどこかで「許してくれる」と甘えていたんですね。
当然くすねたことはバレて、父親からこっぴどく怒られました。
普段顔も合わせない父親に怒られた結果、なぜか嬉しくもあったんですね。
今思えば多分、寂しかったんだと思います。
最後に「お金を盗んだことは誰にも内緒だ。男と男の約束だぞ」と言われて、父親との間に感じていた溝がなくなったと感じていました。
後日、私が一人でいる時に、母親の携帯に父親からメールが来ました。
いつもなら何とも思わないのですが、その時なぜか「父さんと母さんは普段どんな会話をしているんだろう」と気になったのです。
止せばいいのに小学生の頃の私は携帯を覗いてしまったのです。
先程届いたメールは他愛のない会話でした。
そこからさらに前のメールを読み進めていくと、私がお金を盗んだことを母親に連絡している文が書かれていました。
私は頭が真っ白になりました。
誰にも内緒じゃないの?
男と男の約束じゃないの?
それまで母親は私のことを泥棒だと思いながらも、それを顔に出さずに接していたの?
と、ものすごく怖くなりました。
父親になった今は妻に子供のことを連絡する気持ちもわかりますし、お金を盗んだ私が悪いと思いますが、当時の私には”裏切られた”という自分勝手な気持ちが大きかったのです。
それ以降私は両親に対して仮面を被り話すようになり、素顔を見せられるのは祖父だけになりました。
そして中学2年生の時、祖父は自殺しました。
うつ病だったらしいです。
前日私は仮病で学校を休んでいて、祖父が行きつけのスナックに一緒に連れてってくれていました。
全然うつ病だと感じさせることはありませんでしたし、一度もそんな話はありませんでした。
知っていたら全力で止めたのに。
祖父が亡くなってからは仮面を外して接する人はいなくなり、今となってはどこまでが仮面なのかもわからなくなりましたので、表面上だけで接しています。
両親への心の壁は今もまだなくなりません。