「ねぇ、ナナ」 | JW2世のおっさんだけど、青春はこれからだ

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エホバ? あぁ、出来損ないの偶像ですね。


ナナというのは、妻の実家で飼っていたメスの柴犬です。

以下、ヨメさん談。以前に聞いた、ナナとの出会いに関するエピソードです。


「わたしがバプテスマ受けて最初の奉仕に出たときだったと思うんだけど、ある家に一人で入ったら留守だったのよ。で、玄関の近くに犬小屋が並んでるから覗いてみたら、ぜんぶ柴犬が入ってるじゃない! ブリーダーさんだったのよ。しかしまぁ、柴犬のかわいいこと♪ わたし、犬に興味なかったんだけど、あのかわいさには参ったね。

それで、何回も再訪問したの。家の人に雑誌くらいは渡したかもしれないけど、それはどうでもよくて、柴犬に会いたかったから。で、ずっと通ってたら、おじさんが 『これ、あげる。さかまつげで、売り物にならないから』 って言って、柴犬の赤ちゃん1匹くれるって! 

もぉ、驚いたね。『え! あ、ありがとうございます! あ、あとで伺います!』って言って、お酒2本持って行ってきた。

連れて帰ってから庭の端っこにつないでたんだけど、毎日夜鳴きするから、そのたびに、よしよし、どうしたの、とか言ってあやしてたのよ。名前? 名前はブリーダーのおじさんが付けてた。

わたしがエホバの証人になって、両親は反対するし、親戚とか近所から嫌味は言われるし、会衆も仕事もぜんぜん楽しくなかったし、辛いことばっかりだった。
でも、ナナが来てくれて、これはエホバからのプレゼントだ、って思って、毎日ナナとお話ししてた。『ねぇ、ナナ』って言って、いろいろ話しかけた。『ねぇ、ナナ。あなたが世界でいちばんかわいい。いちばんおりこうさんよ』て言ったら、何だかキョトンとして聞いてたけど。

ナナがいたから、何とかやってこれたなぁ。頭は悪かったけど、とにかくかわいかった」


ヨメさんにとって、辛い時期を乗り切るのに、ナナが果たした役割は大きかったのですね。

当時の主催監督夫妻(ともに2世)は、多くの長老たちがそうであるように、成員を慰める能力も意欲もなく、かつプライドだけは高いという、有害な連中だったそうです。

JWを慰め、癒す点では 

ペット >>>(越えられない壁)>>> 長老 

この関係式は古今東西、不変でしょう。


後に配偶者となったわたしも、当然、ナナと対面することになりました。

わたし、実は犬が苦手で、できるだけ近づきたくない、と思っていたのですが、よく見ると、愛嬌のある、なんともかわいい顔をしています。

ヨメさんの実家には、ごくたまにしか行かなかったので、ナナと接する機会も少なかったのですが、会うたびに愛着が増してきました。郵便屋さんが配達に来て、ナナをなでてくれている様子がたまたま部屋から見えたときは、うれしくなりましたね。

そして、わたしがこの世に生を受けて30年余のある日、ついに初めて、犬の散歩を経験することになりました。

散歩用のリードを見せただけで大興奮するナナ。日ごろ、ほとんど散歩させてもらえない環境なので、その喜ぶ様子は心を打ちました。

さて、初体験の犬の散歩。のっけから好き勝手に歩き回るナナ。全然しつけができていませんw

まあ、ど田舎だし、どこを歩こうが自由だ。

いいよ、好きなとこを行きなさい。

リードを離しさえしなければいいだろ。ナナは昔、山ではぐれて自宅に帰れなくなり、家族で探し回って、やっと再会できたということがあったそうです。

もっとも、あんまり山奥に入り込まれると、わたしも方向音痴が重いほうなので、遭難する懸念があります。それで、もと来た道の方向から目を離さないようにして、なんとかナナの行くほうにまかせてついて行きました。

途中、レンゲ畑があり、そこで小休止。

「ほら、ナナ、レンゲだよ。」

まあ、レンゲなどに興味はないでしょうが、一緒にしばらくレンゲ畑を眺めました。

無事に、というと大げさですが、散歩を終えて帰宅。なかなか、心地よかったです。


ナナの訃報が入ったのは、電話証言のため、ある兄弟のお宅にいたときでした。

体調不良で家にいた妻からメール。

「ナナが亡くなりました。昨日、山に埋めたそうです」

あとで聞いたら、実家の義母から連絡があったとのことでした。


ナナ、16歳。


わたしは動揺してしまいました。

ナナは年を取り、元気がなくなっていたとは言え、そんな急に・・・。

もう、電話証言どころではない。

そわそわして残り時間を過ごし、帰宅。


そして、ふたりでしばらく放心。

わたしは寝転んで、天井を眺めながら、ナナのことをいろいろ思い出していました。

そのうち、急に寂しさが募り、思わず涙がポロポロ。

ヨメさんは驚いて、

「ちょっと!! なんであんたが先に泣くの!?」

泣いたっていいじゃねぇか、寂しいのだ。

涙が出たのには、実は自分でも驚きました。わたしは感情が乾いているほうだという自覚がありますが、接する機会が少なかったナナに、ずいぶん情が移ってしまっていたんですね。

もっとも、その後のペットロスは、妻のほうが長く引きずりました。重症でした。


でも、また会いたかった。

散歩に連れて行きたかった。

もっともっと、仲良くなりたかった。


ナナの命日、7月10日で8回目。

この時期には、やっぱり思い出します。

寂しいですけど、楽しい思い出を残してくれたナナに感謝しています。