先の大戦以来、今回もまたとことん愚民扱いされ、コケにされてしまったにもかかわらず、これといった刷新や是正の気配が一向に認められないのはなぜなのでしょうか。正当な権利に基づく活発で自由な発言を導き出せなかったばかりか、加害者と被害者のあいだで信頼の置ける取り決めが未だになされていないというこの現状をどう受け止めたらいいのでしょうか。
 重大な問題はどれも相変わらず先送りという無責任極まりない答えしか出ていません。その裏側では、情緒の世界への逃避行だけが活発化しています。そして、被災地の現場はしんと静まり返っています。
 政府が繰り返すのは、要するに、「悪いようにはしないから」のひと言だけです。役所はまたしても包み隠す方向でしか動かなくなってきています。真っ当な正論を吐いていたひとむらの人影も遠ざかりつつあります。責任を重く受け止めなければならない関係者のあいだには、もはや自戒の色など見たくてもありません。
 膝ががくがくと震えるほどのあの大災害とあの事故は、結局、眠気払いのたぐいでしかなかったのでしょうか。自分に直接関係ないことだからいち早く忘れてしまうという利己主義を、日本人の寛大な心のなせる業と解釈し、空惚けてしまっていいのでしょうか。そんなことで未来を云々する資格があると言えるのでしょうか。
 支配層の付け上がった言動が復活しつつあるようです。