「もっと深く”怖れ”に目を向けるんだ!」。

私は呆気に取られたが、何か言おうとするとまた遮られた。
「あの、、少しお話ししてもいいですか?」。

「いや、もう”時間”がないんだ」。
老人は振り向きもせずさっさと立ち去ってしまった。

2日後、ようやく老人をカフェで見つけることが出来た。
老人は周りから浮いているように見えた。

「同席してもいいですか?」と訊くと、笑顔で少しからかったあと身体をズラした。
老人の擦り切れたシャツの襟元やしわくちゃの薄汚れたトロピカルジャケットを見ていると、突然老人は話し始めた。

「大事なことを話そう。自分に問いただしてみるんだ。
一個人としての自分の心に責任を持ち、真実、自分にとっての真実を見つけ出し、潜在能力を100%実現することが出来るか、と」。

「不吉な予兆がすでにどのぐらい現実になったか考えたことがあるかね?。予言の中には起こりそうもないものもあるが、”それはどうしてだろう?”ってことも。

みんな山頂から終わりの日が来るのを待っている。だが、”何だ、何も起こらなかったじゃないか!。下へ降りてまた前と同じ生活を続けよう。何て馬鹿だったんだろう!。どうして何も起こらなかったんだ!”って思うんだ。

だが、たぶん本当は、人類が辿る運命を変えることが出来る人間がいるんじゃないかって考えるべきなんだよ。

苦しみや前向きな行動、英雄的行為、または霊的な方法や献身を通して、未来の糸を紡ぎ直した人間がいるんじゃないか・・ってね。

人間は祈ることも瞑想も、自分を省みることさえも忘れてしまったが、今そういうことをやってみるべきじゃないんだろうかね。手をこまねいて世界の災難に引き摺られ落ちてゆくかわりに」。

「超意識は思考と何の関係もないものだ。私たちは、宇宙を通り抜ける符号化された、光の繊維で出来た生命の生きた網として繋がっている。それだけのことだ。
その中で、予言はささやかだが重要な意味を持つ糸だってことさ。」。

「2012/12/21に何が起こるのか?」。
パトリシア・マーシア著。

”終焉の日を告げる予言は、恐怖を直視するためにある?”、より抜粋。