沖縄、奄美は割と早く梅雨入りしたのに我鹿児島県は一寸遅いようだ。田植えの季節ともなると我々猟友会に有害駆除出動が出される。田植え直前植付け直後の田に猪君が悪さをする為だ。彼等は体中のだにを落とす為、泥水の中をのたうち回る。ぬた場というが水田は正に絶好のぬた場なのだ。ぼつぼつ夏野菜の収穫となるが一足早くじゃが芋を掘った。今年は場所を替えて堆肥を沢山施したせいで大きさ、量共に大満足だ。かぼちゃも10株植えたが一様に5個以上粒揃いが実りあちこちお裾分けしている。

 扨てこの処北朝鮮が連日ミサイルの発射実験をしている。実験なのか恫喝なのか分からないが、コロナを始め経済的には匹迫しておりそれどころではない筈だが、何を考えているのやら。ロシアのウクライナ進攻で核の脅威をちらつかせる事に依りアメリカやNATOの直接介入を阻止した事を教訓にしているらしい。正に“匹夫の勇”そのものであるが日本の新聞が一面で掲載し、テレビのワイドショーで大騒ぎするので“やりがい”があるのだろう。政治、経済など国全体のバランスから見ると弾道ミサイルの技術は突出している。ロシアの技術がそのまま受け継がれ更に向上しているとも言われる。日本政府もその都度遺憾の意を表明しているが、言葉だけで何らの実効性もなく只々空しく思っておられる人も多いだろう。韓国軍と米軍は時を移さず同じ数のミサイルを発射して北の発射基地破壊の示威行動をやっているではないか!第二次世界大戦の敗戦国の我が国は戦勝国の独善的な報復裁判や占領政策で国民一様に戦争の贖罪意識のみが刷り込まれ、戦争に係わる話はタブーとされた。更に“敗軍の将兵を語らず”で戦争の戦略、戦術面での貴重な体験がいつしか忘れ去られてしまっている。アメリカの庇護下で未来永劫安全であると錯覚していて他国に於ける紛争や戦争も只々人事の様に思っていたと思われる。ところが一連のロシアのウクライナ進攻の無分別な破壊、殺りくを目の当たりにして底知れる恐怖が再び蘇ったのだ。人間の不条理な行動が21世紀の今尚厳然と行われているのを見て我身の安全を真剣に考えだしたのだ。心ある政治家や自衛隊関係者はロシア、ウクライナの戦術、戦略面について一通りの理解は在ると思う。特にロシアの開戦当初の兵站の常道を逸脱した作戦を疑問視した向きも多かった。案の定延び切った戦線で苦戦するロシア軍の作戦はかつてのソ連のものではなかった。果して戦力を失ったロシアは戦線を縮小して部分的に兵力を集中する作戦に出て今の処成功しているやに見える。しかし西側の援助で強力になったウクライナ軍の反攻が予想される。

 連日の報道を見て旧日本軍の蹉跌の一大要因を考えさせられる。「輜重輸卒が兵隊ならば、蝶や蜻蛉も鳥の内」とからかわれ軽視されたのが兵站だったのである。旧軍は日清、日露の戦役で大勝利している。第一次世界大戦前の戦争では勿論兵站も重要視されてはいたがそれよりも最前線の主力同士の決戦で勝敗が決まったのである。日露戦争25年後の第一次世界大戦は以前の戦争とは様相が一変していたのである。人、物、は勿論国力の全てを動員する総力戦であった。つまり情報、通商破壊、兵站重視の近代戦を我国は経験していない事が致命的であった。大東亜戦争の南方方面の戦死者の7割近くが餓死だったのだ。幾多の敗戦の要因を反省することもなく観念的な贖罪意識のみ植え付けられた一般国民はおろか国家の指導者の国防意識は限り無く危うい。ロシア、ウクライナ戦争を見て国家の安全保障の本質を真剣に協議し、あるべき姿を模索するべき時であり、残された時間はあまり無いのかも知れない。