大衆演劇〜お悩み編 舞踊の巻 | marutoko-2019のブログ

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『お芝居の巻』 からの続きで

今回は『舞踊の巻』 です。

 

 

最近の大衆演劇は、舞踊ショーの期待が高く

昔はそこまで舞踊ショーに重点って置かれてなかったようですが

近年では各劇団さん、舞踊ショーには趣向を凝らして

お客さんを楽しませてくれますが

特に女形への期待は大きいようです。

 

この前、ある座員さんが

『芝居は好きなんだけど、舞踊は...』

って言われまして

まぁ〜芝居が好きはいいけど、舞踊嫌いはねぇ〜

って話ししました(笑)

大衆演劇は、踊りが嫌いだと『お花』が付きにくくなりますからねぇ〜

(-_-;ウーン

 

ただ、役者さんにとって女形の舞踊って特に難しく

本来なら舞踊だけで仕事になるくらいです。

芝居も舞踊もって大衆演劇の役者さんって

本当に大変だと思います。

大衆演劇に入って来て、そこそこ芝居も覚えて

舞踊ショーは立役で、なんとなく踊れるようになってきて

次のステップが女形となるのが普通の流れですし

お客さんも、『そろそろ女形踊って〜』って

リクエストするようになったりしますよね。

しかし、ここの壁は結構高いです。

 

私は芝居より舞踊に方が好きでよく観ますが

女形が綺麗に踊れる大衆の役者さんは本当にいいですよね。

けど、女形は本当に難しいです。

 

何が難しいかと言いますと

女形は全身、意識としては頭から指先から全てに

神経が研ぎ澄まされてないと優雅には踊れません。

立役って結構、勢いで何とかなったりしますが

女形は勢いだけでは無理です。

特に女形で重要なのは『体幹』だと思います。

 

 

 

『体幹』とは、簡単に言えば身体の中心軸です。

この『体幹』が身体の中に出来てないと綺麗には踊れません。

 

 

女形はすり足で腰や頭の位置を一定の高さで移動して

身体の中心軸で綺麗に回ります。

これだけと言えばこれだけですが、これがとっても難しい。

特にすり足が出来てないと、ひょこひょこ歩くので

身体が上下に揺れます。

これでは優雅にはなりません。(女形の初心者がこれですね。)

足を軽く曲げた状態で、腰を落としてすり足で

腰と頭を一定の高さで移動するって、もの凄く下半身の筋力がいります。

それと、身体の中心軸がズレると綺麗に回転出来ません。

身体の中心軸がズレると、手や頭、腰や足がしっかりしません。

女形の舞踊の優雅さは軸がしっかりしないと

ゆったりした動きを支えることが出来ません。

これは速く踊れば、なおさら遠心力が付きますので

さらに難しくなります。

女形はかつらも着物も重いですからね。

女形の舞踊が上手い人が立役も上手いのは当然です。

立役を上手く踊るにも女形はとても重要なんです。

 

 

そのトレーニングが『体幹』です。

 

最近、舞踊が上手くなるにはどうしたらいいですか?って聞かれますが

そんな時は、バランスディスクがいいんじゃないの。って言ってます。

まぁ〜体幹トレーニング方法ってyoutubeにいくつもあるので

色々参考にされればいいと思いますが

狭い楽屋で手軽に出来て、バランスディスクに乗りながら

スマホが打てるようになれば、かなりのバランス感覚

すなわち体幹が鍛えられてるんじゃないでしょうかね?

 

https://www.youtube.com/watch?v=v3eD8U9D9Gk

 

結局これも、基礎練習ということです。

 

女形の踊りのレパートリーをいくつ増やそうが

基礎レベルでの舞踊を支えるとこをやらないと

いくらやってもアラが出るだけです。

 

 

この『体幹』ですが、これを鍛えると

芝居でも立ち姿がよくなります。

結局、『体幹』は、どの分野でも基本なんです。

もっと言えば、野球もサッカーもマラソンランナーも

身近だと自転車で、その上が一輪車ってとこです。

意外と大衆に近いのが、フィギュアスケートかな?

フィギュアも舞踊ですしね。

すり足でなく、実際にスベってますが

どんな体勢でも立つと言うより、足が少し曲がった体勢で

身体を支える事が多く

回転は体幹の極みと言う感じですね。

身体を使うものでは、この身体の軸というのが

備わってから、次にテクニックの話になるんです。

立役では殺陣も『体幹』からの技です。

 

 

『体幹』はとても大事なんです。

 

 

 

私は過去に 『早乙女 太一』くんを担当してましたが

彼の凄さは色気や見た目とかじゃなく

このズバ抜けた『体幹』の凄さでしょうね。

竹がしなるように、どんなに身体が曲がっても

下半身がぶれることなく元に戻れる下半身の粘り強さ

その体幹からくる回転の正確さ、それが備わってるので

あの優雅さや色気やらが出せる余裕が出るんです。

殺陣もこの体幹が成せる技です。

これはそう簡単には出来ません。

彼が小さい頃に、朝方まで厳しく練習していたのを知ってます。

世間では天才って言われますが

私の印象では、天才と言うよりは努力の人って感じです。

まぁ〜天才でも1日で出来る訳じゃないんですよ。

 

もう一人、努力の人と言えば

橘 大五郎くんも同じ時期に見てた人なので

大ちゃんも太一くんと同じ舞踊の先生にみっちりシゴかれてた人で

今はもうない、浅草の大勝館で舞踊をよく見ました。

大ちゃんの出番で客席ではこんなエピソードが...

『えぇ〜また風盆〜』

って言ってたのを聞いた事があります。

これは大ちゃんが踊る『石川さゆりの風の盆恋歌』です。

この頃、課題だったのか?この曲の頻度が高く

私も何回も見たのですが、お客さんは文句を言う割には

黙って見てるんですよね。

大ちゃんにとっては、課題なのか?何回も踊るし

当て振りではなく、ちゃんと振り付けされているので

踊れば踊るほど完成度は高くなり、舞踊の基本が叩き込まれていきます

見てる方も、どんどん完成度が上がるので何度見ても飽きないのです。

大衆演劇ではいろんな事が自由ですから

自分でいろいろ決められますけど

まだまだ舞踊に自信がなければ、曲数を絞って

当て振りではなく、ちゃんと自分なりに振り付けして

しっかりと自分のものにするくらい踊り込めば

自然と上手くなっていくと思います。

当て振りを毎回やってると

元の基本が出来てなければ逆に遠回りです。

ソロで踊る機会が少ないにも関わらず、毎回流行りの曲で

当て振りしてたんでは上手くなりようがないんです。

同じことを繰り返しやって、この曲なら自信を持って踊れる!!って

曲を少しずつ増やしていく方が踊りは上手くなります。

お客さんに、毎回同じ曲で〜って思うのは自分だけ

下手な流行りの曲で踊られるより

上手い踊りなら、同じ曲でも何度も見たいんですよ。

大ちゃんや太一くんの舞踊の上手さも

この時期の基本練習の賜物だと思います。

 

 

女形はこの『体幹』に舞踊としての基本がいりますし

関節の柔らかさとか首や肩や腕、足腰のしなやかさとか

いろんな要素がいるので

一朝一夕で上手くなんてなりません。

女形が上手い人は、

子供の頃からやってる人が多いのも

修練にはとても時間がかかる。と言う事です。

1日で出来る天才なんて、いないんです。

 

 

 

 

それと、床山の私からちょっと言わせていただけるなら

舞踊ショーのかつらを派手にとか、人と違うものとか

まぁ〜かつらに神経を使ってこれさえあれば!!って人がたまにいますが

派手なかつらとか、人目を引く物をかぶって出ると

それに見合う舞踊の技量がないと、かつら負けします。

実際、かつら負けというか扮装負けですかね。

見掛け倒しってやつです。

あぁ〜あの色のかつらかぶってた人? とか言われたら役者さんの負けですね。

厳しいこと言えば、自分の技量の無さを

物でカバーしても結局は長続きしません。

派手なかつらや、人と違うことをするっていうのは

その人の技量や雰囲気、お客を巻き込む力があっての話です。

かつらや着物の品評会ではないので、

物に頼らず腕を磨ければ

お客さんにはすぐにわかってもらえます。

最初はお金も無いでしょうし、高いかつらにメンテも高くなるようなら

相舞踊で綺麗にシンクロさせてみたり群舞揃えたりした方が

お客さんへのアピールは全然良いですよ。

派手なかつらや衣装はその後で十分です。

最近は、先に形ばかりに目がいってる人が多いかなぁ〜???

 

地味で先はとても長く、上手くなっていってるのが

本人にはわかりにくいのですが

コツコツ努力していれば、必ず上手くなります。

逆にやらなければ、いつまで経っても上手くはなりません。

修練に近道なんてないんで。

 

 

 

 

 

あまりTwitterなどでも、

この人〜とかあまり言ったことがないのですが

(あっ?最近、何人か言ったかも〜?)

私が見た中で舞踊の上手い女性の大衆演劇の方を何人か紹介します。

男性を紹介しないのがミソ(笑)です。

まぁ〜男性の大衆演劇の方で上手い方は何人もいますし

私が言わなくても知ってますでしょうから

あえて女性の方の紹介です。

 

 

 

 

最初は、この方は私が紹介しなくても知ってる方も多いですし

実力も独自の世界観もちょっと真似出来ませんねぇ〜

 

 

「橘小竜丸劇団」 鈴丸座長

 
 
この方は、説明なんていらないでしょう。
もう、舞踊も上手いですし、
独特のセンスを完全に自分の物にしてますし
大衆演劇界では唯一無二の方です。
 
この劇団さんにはもう一人
 
 
「橘小竜丸劇団」 桜木八重子
 
 
桜木さんは、年配の役者さんで
派手な事はしませんが
舞踊など基本に忠実で、
昔からの役者さんなので、厳しく教えられたのかなぁ〜
と思わせる感じで、踊りが綺麗です。
 
 
ちょっと個人ではないのですが
この小竜丸劇団さんに、過去に 千夏ちゃん という子がいまして
この千夏ちゃんと、今もいる 亮ノ丞くん との相舞踊のシンクロが凄くって
座員さんの相舞踊でここまでの完成度って見た事がなくて
凄いなぁ〜と思った事があります。
大衆演劇は群舞やら相舞踊って揃ってないのが普通ですが
本当は完成度が高くなれば、座長の舞踊より見応えがあることも
出来るんですよね。
最近はそんなシンクロ出来てる舞踊は見たことないですけど〜
どっかあるのかな?
 
 
 
 
最近、気付いたのですが
この人の舞踊もいいです。
 
 
『章劇』  菊小鈴
 
 
小鈴姉さんは上手いかも?とは思ってたのですが
(あまりかつらを壊さない人なので...)
この『章劇』さんは、みんな実力が高い劇団さんで
いつも男性役者さんを中心に観ちゃってたんですよね。
この前、小鈴姉さんのかつらを結う時に
雰囲気見ようと思って観たのですが
あぁ〜上手いなって人でした。
小鈴姉さんの舞踊は個人的には好きなタイプです。
 
 
 
あとは、Youtubeで観ただけなので
実際には観てないのですが
この人も上手そうな感じです。
 

「満劇団」 大日方皐扇

 
実際に観たわけでは無いのでわかりませんが
動画で見る限りでは、上手いです。
『The 座長〜』って感じで、貫禄があります。
実際に観る機会があれば、楽しみな方です。
 

 

 

 

それから、番外編 という事で

 

「森川竜馬劇団」 桜美はるひ

 
この方は、舞踊が上手いわけじゃないんです。
ただ、このくらい舞台に立ってると
他の劇団の人だと
『私を見てぇ〜』
って言う踊りになってくるのですが
この人は気持ちの持ちようですが
そう言った嫌味な感じがなく、
素直に踊るのが逆に魅力なんでしょうか?
私も初めて見る感じの舞踊なので
こう言った方向の人って珍しいかも?
こう応援したくなる感じでお客さんも観てますよね。
実際に観てみないと言ってる意味がわかりにくいかも?(笑)
 
 
 
 
他にもいるとは思いますが
実際に観てない方もいますし
今後はまた増えると思います
今の時点で、私が知ってる感じではこんな感じです。
少し参考になれば。。。
 
 
 
最後に...
 
基本的に技術を磨く仕事って、大衆演劇だけの話ではなく
私の床山の仕事もそうですが、
どの世界にも、基本技術ってあるんです。
その技術を習得していく階段は、人によって
急な階段の人もいれば、ゆるい階段の人もいると思います。
けど、どんな階段も続ければ登っていくと思います。
ただ、1番良くないのが飛び越して上がって行く事です。
いきなり3合目からスタートしても、いつか1合目に戻ります。
結局は踏んで無い階段は、後で踏みに戻ってこないとダメなのです。
この最初に踏んでいく階段が実は、ものすごく大事だったりします。
これを読んでいただけてる人の中には将来、
いろんな仕事に付くと思いますが、焦らないで
けどやる事は確実にその時にマスターしていけば
3合目スタートにした人より出遅れてるように見えますが
結果は、確実にスタートした人の方が早く習得できます。
 
なぜそんなことが言えるのか?
実は私は3合目からスタートしたい?した?人だからです。
とにかく基本を疎かにすると、後で後悔しますよ。
ほんとにね 。。。 
 
 
 
 
こんな文章も誰かの何かのお役に立てれば幸いです...
読んでいただいて、ありがとうございます。