見守りネットワーク あっといーす

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名古屋市で司法書士・行政書士として、高齢者の権利擁護を中心に、
地域の「人」と「行政・医療・福祉」をつなぐアドボカシー活動をしています。

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成年後見人の権限

財産管理権と代理権(民法859条)

財産の保存行為(家屋の修繕など財産の現在の価値を維持する行為)と管理行為(財産の性質を変えない範囲での利用改良行為)を本人に代わって行うことができる権限のことをいいます。ただし、成年後見人と本人とが遺産分割協議をする場合はお互いの利益が相反することになるので特別代理人の選任の申し立てをする必要があったり、本人の居住環境が失われるような住居用不動産などの売却・賃貸借契約の解除などを行うには、家庭裁判所の許可が必要ですし、後見監督人が付されている場合に民法13条各号に定められている行為をするには、後見監督人の同意がいるなど、処分行為をする場合には、その権限には様々な制限があることに注意が必要です。

本人が行った法律行為についての取消権及び追認権(民法9条、122条)

取消権を行使すると、詐欺や強迫を受けた場合でなくても、日常生活に関することを除き、本人が行った法律行為の効果を、初めからなかったことにすることができます。取消権は本人も行使することができます。 取り消しができる期間は、クーリングオフのような契約書面を受領した日から8日以内などと短期間ではなく、追認をすることができるとき(本人の判断能力が回復し、自分のした行為を認識して、取り消さないという意思表示ができるようになったとき)から5年間、行為の時から20年間と長期間にわたります。

成年後見人の義務

善良な管理者の注意義務

自己の財産に対する注意義務よりも重い後見人として高度な財産管理に対する注意義務が課され(民法869条、644条)、これを怠ると不法行為による損害賠償責任(民法709条)を負うことがあります。

意思尊重義務と身上配慮義務

本人の身上監護、財産管理に関する事務のいずれを行うにあたっても、本人の意思を尊重し、かつ、本人の心身の状態及び生活の状況に配慮しなければなりません(民法858条)。

見守り義務

成年後見人は、定期・不定期に訪問・電話連絡等を通じて本人の状況把握に努める必要があります。

自己執行義務

成年後見人は、その職務を遂行するにあたり、その事務を自ら処理する必要があります。

最近、家庭裁判所に対して行った成年後見申立てその他後見事務についての質疑応答のまとめ


Q 被後見人は、現在介護施設に入所中で、自宅に戻る予定はありません。自宅は借家で毎月の賃料は無駄な出費となっているので、借家について賃貸借契約を解除する予定です。居住用不動産の処分の許可申立てを考えていますが、よろしいでしょうか?


A.借家について賃貸借契約を解除して、毎月の不要な出費がなくなることは、被後見人にとって有益なものであるので、特に居住用不動産の処分の許可の申立てをする必要はありません。

との回答を一旦いただきましたが、その後訂正され、居住用不動産の処分の許可申立てを行いました。



Q 司法書士である保佐人Aが被保佐人Bの亡配偶者に関する遺産分割を行うのですが、共同相続人の中に成年後見制度の利用が必要な人Cがいます。

別の親族DがCの後見の申立を行うにあたり、その書類作成を司法書士である保佐人Aが受任する場合、申立人である親族Dから報酬を受け取ることはできますか?


A.利益相反にあたるので、報酬を受け取ることはできません。

との回答をいただきましたが、別の書記官にお伺いしたところ、申立てについて利害は対立していないので、報酬を受け取っても問題ないとの回答をいただきました。


Q 保佐人Aが被保佐人Bを代理して、後見の申立てをすることはできますか?保佐人には、遺産分割についての代理権は付与されています。


A.一身専属権に該当すると思われますので、保佐人による代理申立てをすることはできません。


Q 後見申立ての添付書類である戸籍謄本等の原本還付をすることはできますか?


A.原則的に原本還付は行っておりません。



成年後見制度を多くの方に知っていただきたいと思い、

成年後見制度について連載形式で毎日記事を投稿することにしました。


成年後見制度を利用するにあたって、制度の趣旨と利用方法の理解にお役立てください。

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