「できること?」
「うん、大阪に行ったりはできないけど何かできることがあったら言ってね」
「大阪こうへんなら何ができるん?」
「そうだね、俺にできることはないよね。手術が終わったら会おうね」
(いやいやいや、中絶してほしいのはあんたやねんから「できることがあったら言ってね」ちゃうやん?大阪こーへんってことは何にも付き添うつもりもないんやんな?ほな、出来ることってお金払うことだけちゃうん?どうせもう調べて大凡の金額分かってるんやろうし、いくらぐらいやったからって半分出すよとか言われへんの?)と憤りを感じ「うん」と素っ気ない返事をしたがZに伝わるわけがない。

「よし、じゃあ寝よっか」と電気を消して暫くするとZは眠った。

色々な感情が溢れその瞬間瞬間で考えが変わる。
眠れずに時間だけが過ぎ、だんだんとお腹が空いてしまい気持ち悪くてなってきた。
(姪がもってきてくれたパンあるやん)と、起き上がりZを起こさないように電気は点けず、薄暗い中パンを袋からだして食べる。
パン好きの姉がわざわざ買いに行っただけあって美味しい。
嘔気が少し楽になり、美味しいものを食べているからか少し気持ちが緩む。

(全部食べてしまったら後で困るよな)
数口だけ食べて歯磨きをしてZの横に戻る。


眠れない。。。

どれぐらい時間が経ったのかは分からないがお腹が減ったのか吐き気がでてくる。
再度パンを食べている最中Zが目を覚まし「何してるの?」と声をかけてきた。
「あ、ごめん。起こした?…パン食べてる」
「え?こんな時間にパン食べてるのきもいよ?」
「ごめん。気持ち悪くなって」と、どうにか返事はしたが、心無い発言に衝撃を受けその後の言葉を聞き取れ無かった。
聞き返す気力もなくなったため「ごめん。寝てな」と伝えるとZは無言で寝転んで再び寝始めた。