「11時過ぎぐらいだと思う。植田から連絡くる。歩ちゃんは何時ごろ行くの?多分ロビーお相撲さんいるよ?」
「そうやねん。だからどうしようかと思って…。ご飯行く時大丈夫そうかLINEくれへん?」
「分かった。いいよ」
先にZがロビーへ行き、様子を確認して教えてくれることになった。

Zが部屋を出て数分後『今なら大丈夫』とLINEが届く。
返事をしながら早歩きをしてロビーを通り抜け、駐車場へ向かい車に乗り込む。



急に全身の力が抜けた。
…相撲関係者に会わずにホテルを出られたことよりも、あの空間から出れたことにホッとしていた。





それでも、まだZを気にかけてしまう。



お店の駐車場入り口が分からず通り過ぎてしまい20分以上かかってしまったが、無事に入店できた。
生しらす丼を注文すると「運が良いね。昨日も一昨日も生しらすなかったの。毎日あるもんじゃないからねぇ」と言われQ県に来て良かったと思えた。

一口食べて「美味しっ!!!!」と呟く私にお店のおばさんが「でしょ?今日ならお持ち帰りもあるからねー」と。


美味しいものは好きな人(Zだけではなく母やハル、スズや他の友人含む)にも食べてほしいタイプなので『生しらすお持ち帰りできる!!』とZに知らせる。




食べ終わった時点で返事はなかったが、もしZが食べなくても私が食べる!とお会計時にお持ち帰りを注文。
100g400円とめちゃくちゃ安い。
1キロぐらい買いたい勢いだったが、他の人の迷惑にならないように300g購入させてもらった。

車に乗りホテルへ向かった瞬間、ZからLINEが届き待受画面に通知が出る。
『昼飯食いすぎた』


(あ、ほな生しらすいらんかったんかな?もう帰るし返事せんでいっか)と、車を停める必要性を感じず未読のまま放置した。
すると数分後『今から植田と小野コンビニ行くらしい』とLINEが届く。
※小野=関取



(鉢合ったらどうしよ?)と、すぐにでも返事をしたいのに信号に引っかからない。
やっと赤信号になったのは到着予定時間の7分前だった。



※L=植田と同じ部屋の力士







焦っている状態で、赤信号や一瞬停車させてささっとするLINEではちゃんとしたやり取りが出来ない。

結局、様子を見に行ってくれたZも植田たちとコンビニに行くことになり、車の中から3人がタクシーに乗り込むのを待った。


植田や呼び出しの太郎さんに会ったらどうしよう。
私が知らんでも相手が知ってたらどうしよう。

(万が一、誰かにバレたら大変やしZがまた不機嫌になるかもしれへん)と、動揺して必死にやり取りをしていたが、Zが植田を連れ出してくれる事で安堵し冷静になれた。
…冷静になった事で頭が働き、簡単に外出できる様子を目の当たりにして私のためにコンビニ行ってくれた事は分かっていても(パッてZがタクでコンビニとか行ってそこで待ち合わせたら外出できるやん?てか、他の力士外出しまくってるやん…)と思ってしまう。

気付けばタクシーが到着しZたちが乗り込み出発するところだった。

すぐに『今出た』とLINEが届いたので、返事をしてホテルへ急ぐ。




部屋に戻ってからも(余裕で外出できるんやん。。車にさえ乗ってしまえば問題なくない?「ワゴンと違ってプリウスは座席が低いから外にいる人から髷見えないし案外気付かれないから大丈夫」って上本町で言うたんZやで?だから大阪でドライブしまくったんやん?)と、過去の発言と今の行動に矛盾を感じスッキリしない。

モヤモヤして到着した事を伝えるのを忘れてしまい、Zから『部屋ついた?』と聞かれて慌てて返事をした。