外はまだ真っ暗だった。
街灯が少なく建物の裏側にある駐車場は更に暗く、怖くなり走って向かう。
車に乗り込み1、2分で到着する為、先にLINEを送信しておく。



入り口前に到着し待っていると、すぐに荷物を持ったZが助手席に乗り込んできた。
「ごめんね、ありがとう」
「んーん。出発するで?大丈夫?」
「うん、お願いしまーす」と、言われ車を発進させる。
「こんな真っ暗やけど誰かおるかなぁ?笑」と昨日の話の続き。
「おかしいやつ多いし、居そうだから怖いんだよな。居たらまじそいつアホだよな!アホ!!」とZが言う。
「勝手にアホ認定されるん?」
「そう。アホだもん」
「可哀想。…もし居はったら向こうはZ何してんねん?って思いはるやろうけど、その人は何してるんやろな」
「そうだよね?何でこんな時間にいるんだよって逆にこっちから聞こうかな(笑)」
「うん、聞いてみて?この時間に外におる理由は本気で気になる」と、話していると殆ど車が通っていなかった為10分もかからず到着した。
(また当分会われへん)と悲しい気持ちになってしまう。
「ありがとう。次は10月の巡業かな?気を付けて帰ってね」とZがこっちを見る。
「うん。こっちこそいっぱいありがとう。怪我しやんでな。・・・10月まで長いなぁああああ!」と伝えると、「ね、長いよね。長すぎるよ…」と車の中で可能な限り両手を広げる。

ハグの合図だ。