リハビリ帰り、猫まんまを買いに街まで行き、いつものコースで帰宅へ…


の、つもりが…


またもや、この10年、目もくれなかったラーメン屋に気を取られる。


特徴としては、まず外観がボロボロ、そして赤ノレンらしき物もなく、一瞬「なに屋」かがわからない。


第二の特徴として、その建物をかなり遠くから眺めると、店の屋根付近下に超薄くなった文字看板を発見できる。


そして、そこには「中華料理」の文字がかすかに見える。


しかし、このお店は一時期何ヵ月も営業してなかったりで、実際にいつ再開したかすらわからない、ヘンテコな店でした。


外観、看板はそのままだし、オーナーが変わった気配もなし。

営業時間も一応書いてあります。



11~15時 17~20時と、あまりヤル気は見えません。



外から中は、あまり見えませんし、わたしの記憶では営業してない時のほうが多い気がしてました。



本日午後二時半…



わたしは勇気を振り絞り、このヘンテコ店のドアを押してみました。



お客…0 。



店内はL字のカウンターのみ。


そして店主らしき人物が、1人厨房から元気よく「いらっしゃいませ!」と、ニコニコしながら、わたしを迎え入れてくれました。



歳の頃はほぼわたしと同じくらい。


頭には蛍光色ギンギン多色バンダナ!


鼻下には、ちょい悪オヤジ風のロマンスグレーひげ!

目鼻だちも良く、昔はブイブイ云わせたであろう顔!!


と、まぁこれだけでもラーメン屋のオヤジには、見えないのに…なんとこのオヤジは…



シゲルか!



ってくらい色が真っ黒だったのです。



ここで、わたしは今までの謎が少しだけわかった気がしました。


なるほど…海か山か日サロかわからんが、このオヤジ、仕事より遊びに夢中なんだな!と。



なので、少し好感が持てました。


さぁ、注文です。



1対1です。



店内の壁には「冷やし中華あります」の紙しか張ってありません。


そして、メニューらしき物が一切置いてないのです。

ま、わたしはラーメンしか食べないので、いつものように元気よくラーメン!と手をあげました。



すると…シゲルが…なんとメニューをわたしの前に差し出したのです!



シゲルが!



シゲル曰く
この中からラーメンの種類をお選び下さい!と…



種類ではないぞ…わたしはラーメンを注文したのだ、シゲル!



イケメンで笑顔振りまくこのシゲルは、意外に頑固だった。


そして、シゲルはわたしに説明し始めた。


メニューには
もやし
ネギ
細切り
五目
みそ
ネギみそ

すべて600円

と書いてある。



ようするにラーメンの上にのせる具材、種類を選んでくれと、いうわけです。

そしてさらに説明が…


もやしもネギも具材はすべて炒めた物が上にのりますと。

ちなみに細切りは、豚肉とタケノコの細切りです、との説明も…


わたしは…って事は、青椒肉絲風やら、もやし炒めやら、全部五目みたいなもんかな?と、勝手に想像してみましたが…



シゲル!!違うだろシゲル!



ラーメンだ、シゲル!!



スープと麺のみ勝負のラーメンだ、シゲル!




シゲルは頑固でした…



ラーメンがないラーメン屋!シゲル!



しかたないので、わたしは細切りを注文しました。同じ値段だし。



わたしの位置からは厨房が丸見えです。


左はしには、炒め用の中華鍋。その横には麺を茹でる釜。そして、その横の台上には、なんと家庭用卓上コンロ(ガスはホースでひいてました)が二台!!リンナイが二台!!



まさかのスープ鍋が見当たらない…


そしてコンロには、わたしが家でラーメンを作る時に使う、手鍋が…


シゲルはコンロにカチっと火をつけました。


シゲル!その鍋の中身はスープなのか?まさか…真水では…いつ鍋に入れたんだ?


と、わたしはもうここで大満足で笑いを堪えるのが大変でした。


シゲルは、早速麺を茹で炒め物をしています。



そして、しばらくするとピーピーピーと店内に響き渡る音が…



わたしは、おう!シゲルよ、麺の茹で上がりタイマーなんぞを使っておるのか…

と、思っていたら…





シゲルの携帯音だった。




まぎらわしぞ シゲル!



さて炒め物も終わり、いよいよ謎のスープをどんぶりに…



スープか真水かは、おそらく誰でもわかるんでは?と、わたしは思います。



そしてそのスープは、まったく濁りのない、まぁ綺麗な透明の液体でした。




シゲル!それは水か!



と、わたしは心の中で叫びました。



なるほど…また謎が解けました。


なぜ、炒め物をのせるのか?

なぜ、素のラーメンがないのかが!



わたしも家でラーメンを作る時(インスタント以外)は、炒め物も上にのせ、五目ラーメン風にします。
自分で言うのもなんですが、かなりウマいです。




わたしはシゲルのラーメンを食べました…




わしの家か、シゲル!!



と、わたしは心の中で叫びました。



でも、シゲルとわたしは、ウマが合いそうです。



味覚もほぼ一緒でした。



だので、全部たいらげました。



店内カウンターには、約20人くらいは座れるスペースがありますが…


食べてる時、椅子の数を数えたら8コしかありませんでした。



椅子を増やせシゲル!



でも、シゲルはわたしが食べてる最中、ずっと厨房を磨いてました。厨房だけはピカピカです。


あのコンロもピカピカに仕上げていました。


そして、お勘定の際にも、わたしが千円を出すと「千円お預り致します」「おつりの四百円でございます」と、まぁ笑顔満々で「ありがとうございました、またよろしくお願いします」と、お見送りまでしてくれました。


シゲル!!いいじゃねえか!!


でもな、水はやめろシゲル!


たのむぞ シゲル!



遊び人 シゲルの巻き でした。