四国別格二十番霊場の第十番札所・西山興隆寺に参詣した後、別格第十一番札所の生木地蔵(いききじぞう)こと正善寺(しょうぜんじ)へ行きました。
所在地は西条市丹原町今井。宗派は高野山真言宗で、本尊はもちろん、(生木地蔵というだけに)地蔵菩薩です。
西山興隆寺の御由流宜橋そばで待っていただいたタクシーに乗り、生木地蔵へ案内していただきました。一応、予備知識はありましたが、タクシーの運転手さんは生木地蔵・正善寺の住職と親交があったということで、詳しく教えていただきました。
ガイドブック(朱鷺書房刊『四国別格二十霊場ガイド』)などでも詳しく紹介されていますが、弘法大師がその昔、四国を巡釈されてこの地を訪れた時、山が輝き紫雲がたなびき楠の大木に童子が現れるなどの奇瑞があったので、楠の大木に延命地蔵の尊像を彫ることにした。耳だけを彫り残してあとは全て一夜で彫った弘法大師は、この地を去った。そこで、この楠に刻まれた地蔵菩薩像は「大師が一夜にして彫った尊像」として人々から崇拝され「生木地蔵」と呼ばれた。
この地蔵菩薩像のあった楠は、昭和二十九年の洞爺丸台風で根本から倒れてしまったが、地蔵菩薩像は無傷で残り、正善寺の本堂にまつられた。一方、倒れた楠の霊木は、本堂の斜め前に置かれており、保存のためか屋根がついています。その前には小さな祠があり、楠を「お楠大明神」として祀っています。
正善寺の境内は、西山興隆寺に比べてかなり小規模に感じましたが、弘法大師の伝説と民間の信仰が息づいている場所と感じるものがありました。
(2011年9月18日の「石川鏡介のブログ」より転載)

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