前回からのつづき


✉️

過日

弟から一通のメールが来ていた。


💻

PDFを開く。


画面に縦書きの小さな文字が並んでいた。


近々行われる父、母のお別れ会の会葬礼状だ。

目を細め読み進める。


💻


最初のタイトルらしきものから

末部の『親戚一同』までを一読。


文章が伝える意味は解るのだが、

あまりに意外なその内容に

何ヶ所かを繰り返し読んでみる。



しばらくすると喜怒哀楽どれにもあたらない

複雑な心境になり、身動き出来なくなった。


この感情に漢字を当てはめるなら

『虛』と『笑』






📝

弟がセレモニー会社と打ち合わせし、

いくつかのキーワードを提示したようだ。


それに基づき

専門の方が作成した文面は

おおよそ真実の両親の様子からは掛け離れたものだった。


まず、

二人で和やかに家庭を守り支えたとある。


実際は嫁姑の折り合いが悪く、

夫婦の殺伐とした空気を子ども心に感じていた。


物事にはオモテとウラがあることを

幼少期から悟っていた私。


また、

仲良く畑仕事をしていたは虚偽。

落ち葉を埋める穴すらもまともに掘れない父。

母は、あの人は頭が悪いとあきれていた。



末文には

仲の良かった二人は手を取り今頃天国で笑っているとある。


思わずため息がでた。


そんなはずはないことは

お別れ会に来る親戚なら皆わかるはず。


だったら

何故母は認知症の父の介護を放棄したのか?

父が私の元に来るや、何故父の書斎を物置部屋にしたのか?



会葬礼状とは、もはや形式美の追求なのだと納得した私。


さっそく弟に返信した。



✉️

会葬礼状についてはこれで了解いたしました。




まだ稲穂が青々としている近くの田んぼ