父が85歳で逝去しました。
連絡を受け病院に駆けつけると
医師から今日明日(死去するだろう)と言われました。


『きっと明日父が亡くなる』

ワタシには確信がありました。


父は『明日』を選んで死んでゆくだろうという気がしていました。


父の耳元で好きな映画音楽をかけながら

足や手をさすり声をかけました。


2回ほど目が開きました。


酸素マスクの下

口をめいいっぱい開けて

苦しそうに呼吸をする父。

痩せて薄くなった胸板は激しく上下していました。


死にゆくことは寸分の疑いの余地もなく

誰の目にも明らかでした。



そして、その激しかった呼吸が止まったのは

ワタシにとっては一生忘れることのない

運命が大きく変わってしまった6月某日。

7年前ワタシが初めて全身麻酔で大手術を受けたのと同じ日でした。





認知症の父は勿論ワタシの病歴を知らずにいましたが、死の間際に何かを悟ったのかもしれません。

父はその日を選んだのだと思います。


ワタシが大腸ガンの手術をした日

父が亡くなった日


奇しくも日付は重なることになったのでした。


外は土砂降りの雨でした。