それって、遺伝しないの?
同僚Aから無邪気に問いかけられた。
ワタシが患う指定難病について
Aにはわたしが以前に治療のために入院したとき仕事をカバーしてもらった。
当時の上司は休む時は職員間で『おたがいさま』での仕事の代行調整がまず第一、と指令を出していた。
本来なら伏せておきたい病気についてもやむなくAに伝えた。
以来、Aの関心事はまたワタシが入院するのか否か。会うたびに聞かれた。
いつ入院するの?
が、今回はふと思い出したかのように
遺伝するのか?
ガンにしても難病にしても
親としては常に頭をよぎる、『遺伝』
医師は『遺伝については解明されてはいない』と言う。
歳を重ねても心持ちが幼弱な人は何処にでもいるものだ。
苦笑いしながら
それは分からないものなのよと伝える。
どんな答えを期待していたのか、あるいは後先を考えず好奇心から質問してきただけなのか。
Aは電車の吊り革につかまりながら
ふーんと口を尖らせていた。