一方は、それを単なる『口喧嘩』と笑い

もう一方は『暴力を受けた』と肩を落としている‥

夫が義父、義妹双方に電話し

事の輪郭が見えてきた。


​もう帰らない

義妹は怪我を負った。

痛みと内出血があった。


怪我を負わせたのは、義父。


台所のガス台の不具合という些細なことから

義父は激昂し

力任せに義妹の手首をねじり上げた。


毎日ゴルフクラブを振り回す体力のある老人は、自分の娘の手首の骨をヒビ入らせていたのだ。


が、義父本人にその自覚はなく

義母もこの出来事を知らない。


もう帰らない

トラウマになってしまった‥


そうつぶやく義妹に対して


うちの会社の70代の社員もなんか短気で‥などまた自分の身の回りの話をしていたという夫。


そんな言葉じゃない


逃げ道を作ってあげなければ。

もう帰らなくていい、

何かあれば俺が行くからと

どうして言えないのだろう。



 ​ともに82歳


認知症終末期で何もかもが分からず、意識もなくベッドで寝ている82歳


身体は元気で趣味を楽しみ、 

その体力で娘を傷つけた82歳


それぞれの老後


どちらがいいだろう?どちらがマシだろう?



天秤に掛けたとて

どちらかに傾くことはないのかもしれない。