母と義父(夫の父親)は同じ年だ。

終戦時は物心がつくかつかないかの幼子だった世代。


そして、今‥

一人は、病院のベッドの上でゆらゆらと命のともしびが揺らめいている。

認知症で脳の萎縮が進み生命維持機能が低下、もはや動くことも出来ない。


もう一人は、ゴルフコースに週に一回、それ以外はゴルフ練習場に通う。


背骨を折り要支援となった妻(義母)の通院同行や家事もするが、ゴルフクラブを持たない日はない。



​義妹の献身

『親父は元気だ』

これは夫の口癖

夫は安堵の表情を浮かべる。


老夫婦2人、なんとか上手く生活できていると夫は思っていた。


常に自分のことしか頭にない夫は

周りの事象を表面的にしか見ない傾向がある。


実は老夫婦2人の生活は

同じ地方圏に暮らす義妹(夫の妹)の献身によって成り立っている。


義妹はとある大手の金融会社に勤続30年を超える管理職。

40近くで結婚した。

子どもはいない。



義父が泊まりゴルフのときには、

1人で夜を過ごせない義母のため

会社帰りの義妹は実家泊まりをしていた。


また、片付けだなんだと呼び出されては実家に通ってくれていた。


LINEの返信が来ない

さて、夫の実家で法事が行われることになった。


これについて、夫が義妹にLINEをするが、

既読になるが返信がない。


優秀でしっかり者の妹。

連絡のレスポンスは早い。


さすがの夫も不思議に思っていたようだが、

いつものように大して深く考えることもなく

日々は過ぎて行った。


何かある。

いや、すでに何かがあったのでは?


あまりに呑気な夫に対し

たまらずこう進言した。


そしてようやく

夫も重い腰をあげ、妹に電話をかけた‥‥