考えてみると、面会が出来るのは久々だ。

過去5回の入院はコロナ防止対策で病院に預けっぱなし、病床を見舞うことはなかった。



今回の親①の7度目の入院は、30分の面会ができる。


口を開けて眠る親

点滴が漏れたのか、手首には大きな赤紫の内出血。




さっき担当医から連絡があった。


認知症に加え、免疫疾患と白血病(疑い)を抱え、今後も熱発や感染症は起こりうる。

今いる有料老人ホームではなく療養型の病院に預けたらどうか?と。


即答は出来なかった。


有料老人ホームでの日々

見慣れた環境、顔のわかるスタッフに囲まれ

時折見せる満面の笑み


病院に入れば親①の生活は一変するだろう。

そしてあの笑顔はもう見られなくなるかもしれない。


親①はゆっくり目を開けた。

ワタシを見るや笑顔を浮かべ、


『ようこそいらっしゃいました。

どうぞゆっくりして行ってください。』


自分の会社に来た客人とでも思ったらしい。


何だか胸がいっぱいになり


『ありがとうございます』

とつぶやくのが精一杯だった。


ワタシの言葉が届くのよりも早く、

親①はまた眠りに落ちて行った。