入室の挨拶から更衣介助、生活援助、退室まで、ほぼ息を切らすことなく歌われている、この方。
あまりに大阪ラプソディを歌唱されるので、関西にルーツがあるのかと思いきや関東のご出身。
もう海原百里様と呼ばせていただきます
単に歌うのが好きな楽しいおばあさんなのか。
いや。わたしは、そうではないと感じていた。
天涯孤独の身であると記憶ではなく、感覚としては残っているようだ。
『父さんが、もうすぐ帰ってくる』というときの目には一瞬陰りが見えた。
さみしさを掻き消すための歌。
失禁のお世話をしたときも、歌っていた。
現実から逃れるための歌。
そしてこの方の負のマグマ、陰(いん)のマグマがいつか噴出して🌋何か一大事が起きるのでは?と危惧していた。
ある朝8時、いつものようにデイサービスの送り出しのケアに伺う。
ここ最近ほどは暑くはない晩夏の頃。
人々はまだ半袖、エアコンをつけているような頃だった。
玄関ドアの鍵が開いている。
靴が、ない。
安否確認のために入室。
夕食は手付かずでそのまま。ベッドは寝た形跡がない。電気は点灯💡
ご本人の姿は、やはり見当たらない。
まずは、わたしが落ち着かなくては
フーッと息を吐き、事務所に報告の電話をかけた。