あさイチでマッチングアプリの特集をやっていた。私は元々マッチングアプリ推奨派である。だってそれまではそんなに広くはない自分のテリトリーの中でしか巡り会いがなかったのが、いきなり全世界が対象になるなんて実に夢のある話で、若い人達が正直うらやましい。私の若い頃はお見合いか職場恋愛の2本立てって感じ。御多分に漏れず、その昔、私もそうでした。今になって振り返ると、学生時代も含めてそんなに面白い人はいなかったなぁというのが正直なところだ。ま、人のことは言えないけど…。

例えばパリの酒場でどこぞの国のプリンスと出会っちゃうとか、マンハッタンでイケメンやり手トレーダーが落としたお財布を拾うとか、そんな可能性はほぼゼロだった。それがネットによってゼロから少しは+になったんじゃないだろうか。まぁ、にせプリンスや借金まみれのトレーダーに出会う確率も上がったけどね。

最近では、なんとマッチングでのやり取りの時に、AIが助けてくれるシステムまであるらしい。チャットをしている二人の間にAIさんがいて、仲をとりもつらしい。ま、昔の仲人おばさんの現代版である。映画が趣味なんですってよ、今度誘ってみたら?とか、お付き合いのペースはゆっくりめの方がいいかもしれないわねとか、そういったやりとりが苦手な人にとっては心強い味方になってくれる。昔の仲人おばさんは多少の主観を持っていたと思うけど、こっちはデータに基づくものだもんね。まぁ、時には直視できないほどに冷静かもしれないけど…。

そんなことがすごいなぁと思っていたら、今度は都でカスハラ対策のための条例をつくるらしいというニュースをやっていた。このカスハラ対応にもAIさんが相当関与してくれるようになるらしい。仲人おばさんのみならず、クレイマー対応までやってくれる、本当に万能おばさんである。怒鳴り声を若干ソフトな言い回しに変えてくれることもできるとのことだ。ということは、夫婦喧嘩の仲裁なんていうのも可能になるんじゃないだろうか?AIおばさんがとりもって結婚したペアが夫婦喧嘩したら、AIおばさんはいったいどんな仲裁をするんだろうか?バカバカしいけど、ちょっと興味がある。

いや、まてよ、いっそのこと日常会話をAIおばさんを通してしたらいいんじゃないだろうか?そうすれば、日頃、日本で起こっている夫婦喧嘩の30%くらいはなくなる気がする。ちょっと飛躍するけど、出生率も上がるかもしれない。少子化対策として有効だ。

認知症の人との会話にも有効かもしれない。AIおばさんがデータ分析して認知症の人が本当は何を言いたいのかを解説してくれれば、言われた方も少し冷静になれて、後になっての後悔が減る気がする。

そんなこんなを考えると、人間がAIに操られるようで嫌だという声もあるだろう。だけど、現実に日々些細な出来事に一喜一憂する中で暮らしている身にとっては、その手段が何であろうとどうでもいい気もする。とりあえず、少し円満に、少し円滑にと誰だって思ってるけど、なかなかにそれが難しい。その手助けをAIおばさんがやってくれるんならそれはそれでいいと思う。何でおばさんなんだって聞かれそうだけど、いや単なるイメージです。