中学校の図書室は元音楽室で、鍵盤のエナメルがはげたグランドピアノが置いてあった。
ちょっとカビ臭くてほこりっぽい独特の紙のにおいがした。
そこは、漫画の登場人物みたいな個性的な先輩と、
クラスになじめない変わった同級達のたまり場だった。

ひと学年8クラスもあればクラスから2人ぐらいはみ出した変わり者がでる。
それが集まれば16人ぐらいはいるわけで…

真空管を集めていて生徒手帳を掏るのが得意なF。
英語の得意な秀才S。
文鳥の餌にささみ肉をやったM。
超高速で編み物をしていたI。
松葉杖にバイオリンを背負っていたU。
おかっぱでちょっとこけしみたいだったG。
アマチュア無線部や映画研究部なんかもまじってた。
今であれば「おたく」ってことばでくくられちゃうのかな。

よくわからないことを話し合った。
宇宙の果てとか死後の世界とか魔法とか
自給自足とかものがたりの世界、宗教の違い
戦争と平和
子供ながらにまじめに話した。
自分の意見を主張していたと思う。

みんな、自分の理想に併せて好きな本を選んだ。
全部読んでもいないのに私のお気に入りは
「宮澤賢治全集」だった。
青い布ばり表紙に金の箔押しの文字
古くさい全集は文庫サイズだったような気がする。

宮澤賢治が好きな少女
って言うのに憧れていたのかもしれない。

何回も読んだのはやはり
「銀河鉄道の夜」
鉱物や宇宙、食べ物、動物、現実や夢。日本語とカタカナの入り交じったあの世界は
琥珀色できらきらと輝いて今でも憧れの世界だ。

中学時代の元音楽室の図書館は私の宮澤賢治そのものだとおもう。


そんなことを思い出しながら、次の舞台にむかっています。
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