焼いた鯵の干物が大好きなアメショのミケ。
ミケは三毛猫ではない。それどころか飼主称「アメリカンショートヘア」で群馬生まれの群馬育ち。ちょっと大きいポメラニアンぐらいあるおでぶちゃん。
持ち上げると良くのびる。
彼女が鯵の干物と出会ったのはダイニングテーブルの下。そこは彼女の狩り場だ。

自然界で生活している猫は海の魚である鯵と出会うことはまれだ。さらに干物となれば、ほぼ不可能である。しかもミケの大好物は、焼いてほぐされている身なのだ。

言うなれば未知との遭遇。
人間はまだ出会ってはいないが、宇宙の何処かに、ひっくり返ってゴロゴロ言っちゃうぐらいの、大好物が存在するかもしれない。

それは、どんな味がするのだろう。
どんな形をしているのだろう。


でも、森で拾った巨大な卵で作った「カステラ」あの味は覚えているような気がする。
「ぐりとぐら」の森に住んでいたのだろうか?

あの、砂糖の焼ける匂いとふんわり柔らかい食べ心地、カラメルの苦味。

この現実でその味には、まだ出会えていない。