誰かかわいい子いないかな~。
妹の結婚式の二次会で女を物色しているのは柚井海斗、沙紀の兄だ。
鼻歌を歌いながら、若そうな女の子の集団に目を配る海斗。
「・・・・・・・・・。」
妹には申し訳ないが、全体的に地味だと軽くため息をつく。
やっぱり研究が大好きな女の子にいまどき感を求めるのは酷なのだろうか。来ているドレスも華やかながら、どこか時代遅れ感を感じている。
いや、こんなこと考えたら世のために働いている女子たちに失礼だ。。
頭を悩ます海斗は、あることに気が付いた。
そうか、新郎側から見つければいいんだ!
なんといいことを思いついたんだと自分で自分を褒めたたえる海斗は、すぐに思い直した。
・・・・いや、これは・・・地獄だ。。
180㎝近くある自分よりも明らかに視線が高いその集団は、体格もがっしりしている。
あの中に入ったら自分すら見劣りするんじゃないかと、むしろ近づくのが憚られる。
海斗は幸せそうに座っている妹をぼんやりと眺めていた。
隣に座る男とは何度か会ったが、表裏がない素直なヤツだった。
悪いやつではないが・・・・高校の時に沙紀と何度か一緒にいた男の方が面白みはあった。
その男が来ていないかと会場を見渡すが、姿は見当たらない。
さすがに元カレは呼ばないか。
小さく笑ったとき、海斗のスマホが震えた。
画面を見ると昨日遊んだ女の子の名前。
海斗はため息をつくとそのままポケットにスマホを戻した。
海斗はその容姿から女に困ったことがなく、適当に遊んでは飽きたらポイを繰り返していた。
そして現在進行形だ。
本気の恋なんて・・・多分したことがない。
だから、高校時代に時々家に来ていたあの男が沙紀を見る視線の熱さ、それがうらやましかった。
こいつは妹のことを本気で好きだと確信していた。
なぜ二人が別れたのかははっきり聞いたことがなかったが、おそらく距離なんだろう。
物理的な距離は、若いころの一途な恋にとって天敵と言われている。
だがそれすら、海斗にとってはわからないのだが。
「おにーさん!!いっぱいどうですかーーっ!!」
大きな声に驚いて顔を上げると、真っ赤な顔いっぱいに笑顔を浮かべた義弟、槙幸太郎がビールを片手に立っていた。
新郎自ら酌にくるのか!?
テンションについていけないまま、手持ちのコップにビールを注がれた。
注ぎ返そうとするが、そのまま自分のコップになみなみと注ぐと一気に飲み干す幸太郎。
そしてそのまま海斗に抱き着いてきた。
「ちょ!!」
このスーツ高かったんだから、と何とか逃れようとするが、相手はプロのスポーツ選手。
逃げられるわけがない。
「おにいざーーん、、おれ、、、幸せになりばーーーす!!!」
突然泣き出す幸太郎をみて、周りから笑いと拍手がおこり、海斗はもうどうしていいのかわからない。
ただ、幸太郎の魅力は少し伝わったように感じる海斗。
そっと幸太郎の背中をたたき、「よろしくな」とほほ笑む。
こういう温かさも、いいかもな。
俺もそろそろ結婚しようかな・・・。