いかにもインテリ集団という雰囲気の新婦側が新郎側に座る大男たちに恐れをなす中、二人の結婚式は無事に執り行われた。

 

槙はチームメイトの作った動画に泣いたり笑ったり怒ったりと騒がしくしていたが、沙紀は感謝しかなかった。

だいぶ膨らんだお腹をそっと触りながら考える。

この子がいなかったら、きっと今はない。

こうやって、一つ一つの出会いが私を作っていくんだと。

 

いつかそんな言葉をくれた長谷川教授と、披露宴の後に言葉を交わす。

 

「今日はお忙しいところ来ていただいてありがとうございました。」

「いい式だったね。旦那さん、ほんとに楽しくて魅力的な人なんだね、君がアメリカから帰ってきちゃうのもわかるな。」

クスリと笑う長谷川教授に沙紀は頭を下げる。

「せっかく行かせてもらったのに、ほっぽり出してしまってすいません。それから、これから産休でご迷惑も・・・・」

「ちゃんと、帰ってきなさいよ。」

頭を上げると、長谷川教授は仕事の顔をしていた。

「席はちゃんと、空けておくから。」

沙紀は差し出された教授の手をしっかりと握り、お礼を言って見送った。

 

 

「私って、すごい運がいいのかも。」

 

家のベッドに寝ころんで、盛り上がったお腹をさすりながらつぶやく沙紀の隣に。お風呂から戻ってきた槙がダイブする。

「運って??」

「かっこよくて素敵な幸ちゃんが隣にいて、お腹には赤ちゃんがいて、大好きな仕事もある。幸せすぎて、怖い。」

「お前さぁ」

槙がごろりと沙紀の方を向き、お腹に耳を当てながら言う。

「それは運じゃなくて、お前が勝ち取ったものだろ?

 

またそういうこと言う・・・・。

沙紀は照れ隠しに槙の濡れた髪の毛をぐちゃぐちゃとかき回す。

槙はこんにゃろと言いながらあっという間に沙紀の自由を奪い、上から見下ろした。

「ま、俺が隣にいるのは、『俺が』勝ち取ったからなんだけどな!」

得意げに笑うと、触れるだけのキスをする。

「あの時お前を追いかけてよかったわ、俺。」

「すごい怖かったけどね。」

2人は見つめあい吹き出すと、もう一度優しいキスをした。