意識をしてしまうともう止まらない、僕はそれに気が付いてしまった。
人に興味が持てないのが自分の特性だと思っていたのに、なぜだろう?
彼女だけは少し違う。
勉強を教えてほしいと言われたときは戸惑った。人とコミュニケーションをとるのが苦手な僕が、誰かに「教える」なんてことができるのだろうか?
でも、彼女は猫のようにするりと僕の懐に入ってきて、満面の笑みで見つめてくるんだ。こんなに人と交わりたいと思ったことは本当に久々だった。
ライブは一人で行くつもりだった。いつだってお気に入りのライブは一人で行って、ライブハウスの隅で目を閉じて耳を澄ます。雰囲気を味わうだけで満足だったんだ。
彼女が僕を高みに連れていく。
なぜだろう?彼女がいるとなんでもできるような気がしてしまうんだ。
彼女がいると僕の世界はどんどん鮮やかになっていく。
一緒に出かけた翌日、学校で出会った彼女はいつもよりすこしぎこちなかった。ほかの男子にはいつも通りの笑顔で接している。
考えすぎておかしくなってしまいそうだった。
彼女のお兄さんに失礼な態度を取ってしまったから?突然彼氏なんていわれて、びっくりしたし恥ずかしさの限界だったんだ。あれ以上あの場にいられなかった。それだけだ。
そうやって独り言ちていようと、彼女は今までのように屈託のない笑顔をこちらに向けてはくれない。
悶々とした日々を過ごしているところに、先輩たちの冷やかしだ。
もういい、放っておいてくれ。
僕たちの仲を疑われても、彼女は迷惑でしかないだろうに。
話を終わりにしたくて言い放った僕の言葉の後に、彼女は走り去った。よほどいたたまれなかったに違いない。
そんな折に、見てしまったんだ。彼女が南先輩と自転車に乗っているところを。
あぁ。
やっぱり、それで、いい。