物理のプリントで助けてもらったのを境に、沙紀はたびたび雪村を頼るようになった。
授業でわからない問題があると、先生ではなく雪村に聞きに行った。(先生が説明下手っていうこともあるようだが)


二人の仲が急速に深まっていったある日、沙紀はsoft wingのライブが近くのライブハウスで行われるということを知った。
翌日雪村にその話をしてみると、どうやら雪村もいく予定のようだ。


「誰かと、行くの?」沙紀は遠慮がちに聞いた。
「いや、特に決めてないけど。」
「じゃあ。い、一緒に行かない?」
なるべく不自然にならないように、友達っぽく!!と意識をしながら聞いてみる沙紀に、雪村が静かに言った。
「・・・いいよ。」



ライブの日までは毎日が楽しみだった。
あまりにも浮かれているので咲良や桃には心配されたぐらいだ。


雪村との接触に関しては璃子以外には話していない。恥ずかしかったこともあるし、何より雪村があまり好まないと思ったからだ。
「雪村くんはこのこと、透に話したりしてるのかな?」部活中に璃子が小声で話しかけてきた。
「どうだろ、、キャラ的には言ってないと思う。。」
「ふふふ。でもうまくいくといいな~。」
「璃子は透くんとどうなってるわけ??」
途端に璃子の表情が曇る。
「それが、ね。透は、桃が好きっぽい。」
透がふざけて「胸が大きい子がいい」と話していたのは聞いたことがある。だが、そんなことを言いながらやっぱり璃子を大事にしていると感じていた沙紀は、何となく腑に落ちない。


「前から桃のことちらちら見てたのは知ってた。でも実際本人の口から聞いちゃうと、ね・・・。」
透のことはあまり知らない沙紀にはうまくフォローできず、涙ぐみながらも無理やり笑う璃子の背中をさすることしかできなかった。